百年前 | 久蔵

久蔵

落語と歴史のブログ

欧州で第一次世界大戦が勃発した、戦場戦禍は欧州に限定されていたが世界を巻き込み近代日本の進路を大きく変える大事件になった



日露戦争では勝利したにも拘らず賠償金を一切得られず戦後の日本経済は低迷していた

 

第二次大隈内閣は欧州の大戦を好機と捉え日英同盟を根拠に対独宣戦布告した

独に勝利し独租借地の山東半島の権益と独領南洋諸島の統治権を継承することになった

戦場で荒廃した欧州各国は停滞し世界をリードしてきた大英帝国は戦場とならなかった米にその座を奪われた

 

ロシア革命で誕生したソビエトと極東の日本が台頭してきた

 


日本は満蒙朝経営への莫大な投資と海運貿易で得た利益で日露戦争以降の不況を脱出した、という時期が約百年前のことだという

英仏露とは日英同盟・日仏協約・日露密約で米の大陸進出を防ぐという対米政策の利害が一致する関係だったという

独伊とは対戦国として関係は悪化していく、しかし第一次大戦後のヴェルサイユ・ワシントン体制後はこの関係は反転する

欧州全域が戦場となり欧州各国のアジア大陸経営が疎かになった隙に日露(後のソ)が大きく進出した

欧州からの輸入が途絶えたアジアに、代わって日本から軽工業製品が輸出され大陸経済は日ソ(旧露)が主導するまでになったという

 



対戦国の独からの重化学工業技術が途絶えた日本は軽工業で得た利益を、鉄鋼・機械・造船・化学の重化学開発に投資した

満州と朝鮮で勃興した新興財閥の資本で日本独自の科学研究開発が始まり医療分野でも急成長した

 

戦後には世界のトップレベルとなり後に独立前にノーベル賞受賞科学者も誕生する地盤ができたのはこの頃だという

やがて日本は重化学工業大国にもなり、船舶機械から航空機開発にも着手し仏独伊を追い抜き世界第三位の軍事大国となる

明治の拙さはなくなり日本は世界平和秩序の国際連盟の常任理事国となるが、欧米から一目置かれると同時に禍根と見做される

 

約百年前の日本は大陸の満州国の建国に向けてソ満国境のシベリアに進出し、世界史の物語の主役にもなっていった