イシカワでぃ~す!

今回はキャスティングの経緯についてお話します。

でも、その前に『ねじリズム』という団体は、自分以外にも作家がいて、まあ、自分以外ってのは鈴木先生こと鈴木祥二郎なんですけど、その話をサクッとしようかと。

彼は自分と違って作家性の強い脚本家というか、書きたい事の軸がブレずにストーリーを紡いでいけるタイプの作家なんですよね。

例えば、Aという目的地があるとしたら、必ずAに辿り着ける人というか。

で、自分の場合はどうかというと、作家性が乏しいというか、基本的にはストーリーはどうでもいいタイプで(実際、どうでもよくはないんだけど…w)Aという目的地を目指したつもりが、気付けばBとかCとか全然違うゴールに辿り着いてしまう人なんですね(笑)

結果として、今回はこういうキャスティングだったからこそ、こういう『さらば!イチロー』になったんですけど、それぐらい配役頼みというか、演じる人次第でストーリーすらどんどん変わってしまうのが石川スタイルです。

そんな訳でキャスティングの話に戻りますが、台本を書き始めた段階ではねじリズムのメンバー以外は前田晃男さんと丸山正吾君しか出演が決まっておらず、ユミコも当初の自分のイメージでは「鈴木先生が女装して演じるんだろうな~」ぐらいで書いておりました(笑)

ところが、一番最初に冒頭10ページの中でユミコの「みっともなさは愛の証だ!」という台詞を書いたトコロ、「この台詞は実際の女性が言わないと説得力が出ないと思う」と鈴木先生に言われ女優探しが始まったのであります。

結果、山本チアキちゃんがユミコを演じてくれましたが、彼女のキャラクターのお陰であのユミコに仕上がったというぐらい当初のイメージから飛躍しました。

めちゃくちゃ自分勝手な事言ってるクセになんか憎めないっていう絶妙な感じは彼女ならではというか、チアキちゃんじゃなかったら自分もああいうユミコ像は描けなかったと思います。

余談ですが、自分が出演した『逆転裁判2~さらば、逆転~』の自分の相手役がユリエという役名で、稽古の合間に台本を書きながら頭が混乱してきて稽古中にユリエに向かって「ユミコ~!」と口走った記憶があります(笑)

まあ、その話は置いといて。

チチローに関しては、「チェンジ」っていう一言が出てきてからジジ・ぶぅさん以外に考えられなくなり(それはメンバーも同じく)、ダメ元でオファーしたらスケジュール的に大丈夫という事で出演して頂いたんですが、もし、ジジ・ぶぅさんじゃなかったらどうなっていたんだろう?

稽古初日の本読みでジジ・ぶぅさんの「チェンジ」を聞いた瞬間の幸福感ったらありませんでしたよ。
ただ、その後ストーリーにチチローをどう絡めていくかは相当悩みましたけど、それはまた別の機会に。

DJブラは、そのキャラクターを思いついた瞬間から仁以外に考えられなかったですね。
わざわざ告げなくても本人もそれは理解してたみたいで(笑)
声といい、あのガタイといい、オカマキャラがハマるんですよね~。

ちなみに、DJブラとシン・イチローが実は兄弟だったという設定は仁の発案です。

ユンケルは、夏に丸山正吾が役でパンチパーマにしてた『へべれけ』という作品を見ていたのが大きかったかもしれません。
「今回またパンチにしてもらいたいんだけど…」と言ったら断られましたけど(笑)
でもまあ、そのお陰でパンチを卒業するって件が出来上がったんですけどね。

ハチローに関しては、役名もムネリンからハチロー変更になった事もそうなんですが、紆余曲折があり、元々はシリアスなキャラで書いてました。
ホストって設定が思い浮かんだ時に一昔前にあった『八王子ホスト殺人事件』っていうのを下敷きにしようかなと思っていたんですが、それもメンバーとの打ち合わせで変わり、過去の(イチロー時代の)栄光にすがるキャラクターに落ち着きました。
過去に『信者A』という作品でペヤングって役をやって貰った時もそうなんですけど、尊哉はカッコ悪ければカッコ悪い程魅力が出る役者だと個人的に思っていて、今回それもあってハチローを演じて貰いました。

吉田は、前田さんに演じてもらおうっていうのは最初から思っていたんですけど、ぶっちゃけ一番書くのに悩んだキャラクターでした。
そもそも刑事のなんたるかを作家が分かってないというのも一因ではあるのですが(笑)
僕らメンバーの中では『吉田問題』という議題で何度も打ち合わせをしながら結局何も決められない日々が続くという。

この『吉田問題』だけで一つの記事が書けるのでコレも別の機会にお話するとして、何も吉田のアイデアが浮かばないまま、今日から前田さんが稽古に参加するという日の稽古場に向かう電車の中で慌てながら書いたシーンが、鈴木先生演じる番組Dと吉田の事情聴取の「もう~慌てちゃって慌てちゃって」になります。

書いてるテメーが一番慌ててんじゃねえか!って感じですが、お陰で面白いシーンになったと自負しております(笑)

鈴木先生が演じた一人7役の『スズキ』のオンパレードは、結果ノリでそうなりました(笑)

以前の記事で書きましたが、結局、名前だけ出て消えた『オウギ』って役が、当初はハチローが在籍するホストクラブ『レーザービーム』の店長って設定で、鈴木さん本人は『オウギ』が本役だと勝手に思ってたみたいですけど(笑)

とまあ、そんなこんなでキャスティングのお陰で大幅に内容が変わったんだよという話でした。


続く!


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