実は2017年の大晦日に鑑賞した映画なんですけど、年末のベストランキングに入れていないので、今年分に入れさせていただきます。
●割とノンフィクション映画!「全員死刑」の感想
全員死刑
を観てきました。
大牟田4人殺害事件の犯人である一家の次男の獄中手記を原作に実写映画化。
監督は今作が商業デビュー作となる小林勇貴監督です。
観てきた感想をざっくり一言で言うと
ちょっと・・・物足りない
という満足までいかない感じの一作でした。
もうちょっと詳しい感想を書いていきます。
●もっと激しいもんだと思っていたものの・・・
グロいけど大傑作。
謳い文句としても「冷たい熱帯魚」という傑作のスタッフが制作ということなので、あの域のものを期待していったのですが・・・期待していた面白さとはちょっと違った作品でした。
残忍な殺人をテキパキこなしていく恐怖や狂気を描いた作品かと思いきや、頭のネジが外れているDQNが、ひじょーに粗い方法でヘラヘラと雑に殺人を犯していく様を追っていくような映画でした。
その杜撰さを笑ったり、主犯格となる次男くんの殺人の中で生まれるちょっとした変化を体験する映画となっているのですが、私としては狂気に及ぶような映画ではなく、エピソードとして特異な魅力を感じる題材ではありませんでした。
鳥居みゆきさんとかなんかもっとえぐーい死に方するのかと勝手に思ってました。
●殺人ですら共感の瞬間が生まれる映画のマジック
ただ、自分で敷いた「冷たい熱帯魚」のハードルを取っ払って、本作を思うと、全く共感できないような杜撰な殺人事件が題材であっても、次男くんの成長物語として共感できる瞬間があることは発見だったかもしれません。
どうしても特異な行動として見られがちな「殺人」ですが、冗談を飛ばしながらできたり、やり終えたあとに「やったー!」と叫べたり、いつもの自分が言えなかったことが言えるようなきっかけになったりと、「殺人」は「殺人」でポジティブな感覚を呼び起こす瞬間が生まれる・・・そんな不道徳ながらも、それはそれで“あり得ること”を描いているという意味では貴重な映画なのかもしれない。そんなことを思いました。
間宮さんの演技もすごく良かったですわ。
個人的にバシッと決まったと思えるような秀作ではなかったのですが、決して
良くなかったみたいな感想にはならない映画でした。
月並みの感想となってしまいますが、こんな感想で締めておきます。
楽しかったです。
全員死刑: 大牟田4人殺害事件「死刑囚」獄中手記 (小学館文庫)
我が一家全員死刑 福岡県大牟田市4人殺害事件「死刑囚」獄中手記 (コア新書)
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