祝グランプリ!TAAF長編コンペ【TOUT EN HAUT DU MONDE】の感想。 | アニメ映画情報ブログ【 ねじまき恋文のヤブレター 】

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東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)から無事帰宅!
本作がこの催しの長編コンペグランプリを獲得いたしました。


TOUT EN HAUT DU MONDE
(英題:LONG WAY NORTH)



を見てきました。




休日と重なっていたこともあってか「CAFARD」「ADAMA」に比べて、客席が結構埋まっておりました。
上映後には制作関係者も複数人登壇してくださり、制作意図や質問などに答えてくれたり、帰りには来場者に缶バッチを配ってくれるというお心遣いもありました。
ありがたし。





見てきた感想をざっくり言わせて貰えば




良い!!
すっごく良い!!


というコンペにノミネートされるのも納得の一作品でした。
この作品がグランプリに受賞したから、都合よくのっかってるとかではなく、すごく良いと思っての感想です。
もうちょっと詳しい感想を書いていきますね。




●まず素晴らしい題材の選択!!

まず、題材が面白い!
良いとこ出身のお嬢様が、親しくしていたお祖父ちゃんが乗ったまま行方不明となった大型船を探しに、家出をするという物語。
これだけ聞くと、それほど新しい物語というわけではないのですが、その探しに行く先が北極となると話は別。

おじいちゃん


氷上での生活がどんな感じなのか、とか、砕氷船を進めていく過程がどんなものなのか、といったディティールの部分が非常に丁寧に描かれていて感心させられました。
登場人物が氷の上に降り立った際に、遠くの氷解が不規律に上下に揺れる感じとか、すごく“それっぽい”と感じさせらましたよ。
またブリザード描写も実際に体感させられているようで興奮しましたよ。
アニメーションを見ている時の楽しみの一つとしてこういう“それっぽい”体験はやはり大きな楽しみの一つです。

お嬢様がお城の世界を飛び出して、世界を知る物語・・・って読みとき方ならディズニー映画でも多く見られる物語の筋なんですが、それを新鮮に楽しむことができました。
これは、やはり世界の描き方が見事なのでしょうね。






●仰天のこの映画の作られ方

で、ビックリしたのが本作がFlashで作られているということ。

上映後のトークセッションで制作者の方からFlashで作っていることが述べられました。
Flashアニメといえば、私はつい「鷹の爪」とかを連想しちゃうのですが、フラッシュとは思えないよう、カットをうまく割ったりするなどした工夫がされておりました。

鷹の爪


幸い、グランプリ作品となったことで劇場で2回目の鑑賞もできたのですが、言われてみれば確かにFlashなんだな、と思わせられるカットもあり、Flashアニメの極地を見せつけられた思いでした。
「喜羊羊」とか見て、Flashには限界があるのかなーとかヌルく見ていましたが、Flashアニメの世界ってまだまだ奥が深かったりするのかも。
ちょっと勉強しがいのありそうな世界だと感じました。

お嬢様


その他、制作の方々からは3コマ打ちで描いているのだとか、経済面でのやりくりの為デザインを変えたなどの裏話を聞くことが出来ました。
非常に合理的につくられたアニメなのですが、そこを感じさせないK.U.F.Uの塊だったわけですな。






●日本人にも馴染みやすい一作!?

傑作と言っても「CAFARD」「ADAMA」のように日本興行は困難だよなぁと思うものもある反面、この作品はすごく日本向きだなぁとも感じました。
というのも、単純なエンターテイメントとして面白いし
老若男女が楽しめる上品な作品に仕上がっているから・・・
なんかこういう要素を上げていくとなんだかジブリっぽいのです。
だから日本向きとも思うのかも。

日本人はジブリ映画大好きだけど(興行成績が高水準という意味で)、それを考えたら、この映画ってしっかり日本でもヒット狙えるんじゃないかと思うんですよね。

もう少し具体的に言うなら、「星を追う子ども」みたいなビジュアル的な側面ではなく、本作に登場する酒場のおばちゃんの“強い女感”や、砕氷船に乗り込んでいる犬とサーシャの“動物の相棒感”など、今まで日本人が馴染んできたジブリ作品に多く見られるような要素がところどころに詰まっていました。
あのバランスとかすごくジブリっぽかったんです。

わんわんお


もし本作を日本で興行していくなら、こういったアイテムがヒットの鍵になるかもしれないですね。






そんな感じで文句なしの大傑作でした。

世界線が違えば、本作に登場するサーシャの薄い本なんかが大量に生産されてもいいんじゃないか・・・もしくはそういう未来もあるんじゃないかというぐらい、日本人も親しみやすい作品になっているので(親しみやすさの比喩がゲスい)、非常におすすめの一作です。

わんことサーシャ
サーシャもわんわん(そんな名前じゃない)も大好きです!


是非、改めて全国で日本上映が行われて欲しい作品!
長編コンペグランプリおめでとうございました!!!





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