1.回想 ~ディーセレ0弾黎明期~
ディーセレ開幕から間もない頃。
不慣れなフォーマットに早く慣れようとアトを使った日を思い出す。
後攻1ターン目。
一早く点を通そうと、1面バニッシュしてアタックに入る時、外野から助言が入る。
「そんなプレイをしていると、2面要求警察に捕まるよ。」
品行方正、前科無しを貫く我が人生において、遂に警察沙汰となってしまった。
当初のアトは下級の盤面空けが皆無。
振り返ってみると、
後1:2面空け
後2:0面空け
という展開になっていた。
これでは後攻1ターン目の1パン目でLBを踏み、2撃目を通せないリスクを負うことになる。
そこで、タウィル=ハウリングの使用を遅らせ、
後1:1面空け
後2:1面空け
と、盤面要求を分散させるのがディーセレの常識となった。
しかし、常識は疑うもの。
時代が変わり、環境が変われば、常識もまた見直すべきなのだ。
ましてや環境の移り変わりの早いカードゲームの世界では、なおさらね。
本日は、
「後攻1ターン目2点要求は悪」
という常識に一石を投じ、後攻1ターン目という狭い世界にも†プレイング†が存在するという、ディーセレの奥深さを披露したいと思う。
2.バン VS マドカ、後1T2点要求が板
現代に戻って昨日。
CHANGING DIVAの仮組みバンVSマドカで1人対戦会を行っていた。
ちなみにレシピはこんな感じ。
雰囲気を掴もうと、何気なく1人で両デッキを対戦させていると、プレイングのポイントに気付いた。
「あれ、後1Tに2面要求警察沙汰した方が強くね?」
どちらも下級の面要求は皆無。
後2Tに0面要求となるが、1パン目にLBを踏む以上の意味が、2面要求にあることに気付いた。
①1Tに攻めることで、マドカのLBの一部が腐る
マドカのレシピを眺めると、1パン目に踏んでも損失の小さいLBが多いことに気付く。
・サーバント ♯ → トラッシュ0枚なので回収不能
・アンミラ → 同上
・カワニイ → 緑2エナが払えない
・TROUBLE → 1面ダウンのみなので許容範囲
とはいえこれはおまけのようなもの。ソラサー、RANDOM BADを踏むと損なことに変わりない。
2面要求を行う積極的な理由は次の2つだ。
②タマゴ=ビーティングが腐らない
1人回しの時は、普通に後攻2ターン目に使う想定で温存していた。
が、先攻2ターン目、事件が起こる。
マドカ側は手札事故を起こし、ソラサー・ミズドケイの2面しか埋まらずアタックに。
ミズドケイのアタックでアークゲインLBを踏んで退場した。
バン側にとっては幸運な出来事に思える。
しかし、である。
返しのバン「ビーティング使う機会なくね?」
更に察してしまった。
後攻3ターン目にも使えないということを。
「対戦相手は自分のシグニ1体を選びエナゾーンに置く」
そう、先攻3ターン目、相手が「3・3・1」の盤面を立てると、一見ビーティングの餌が撒かれたように見えるが、後攻3ターン目のグロウ時に、餌が相手によってエナに逃がされてしまう。
ビーティングを使えば山下さん(デッキの一番下に送る行為を指す、流行らせたい表現)だったのに、みすみすエナを与えてしまうのだ。
早期にアシストルリグをLv2に乗せ、下敷き7枚体制を作りたいバンにとっては致命的。
結局ビーティングの除去は諦め、空グロウせざるを得なくなった。
今回は偶然の出来事であったが、相手にビーティングの存在を知られていたら、どうであろうか。
下級の面空けが貧弱なうちゅうのことだ。
存在を確認するまでもなく、ビーティングということは容易に想像が付く。
手札にLv1シグニがあっても敢えて出さない。
そんなプレイングを取られると、たちまちビーティングが腐ってしまうのだ。
ビーティングを腐らせず、確実に使うには?
そう、後攻1ターン目に使えば良いのである。
③相手がLv2アシストに乗るタイミングが遅れる
ここまでバンの視点で解説してきたが、この点についてはマドカ側も関係してくる。
今回重要となるのは後攻2ターン目の攻防だ。
後攻2ターン目、タマゴ=ビーティングやムジカ//パワームーブ(出現時8000マイナス)で1面空けた時のアタックフェイズを考えてみよう。
1面空けたことで、相手はアシストルリグにグロウする口実が生まれる。
バン「早くアシストをLv2にグロウさせ、7枚下敷きを使いたい」
マドカ「片方のアシストをLv2にグロウさせ、早くリミット7に上げたい」
バンにはタマゴ=ジェットスティック、マドカにはムジカ//スプリット、どちらも1エナでグロウできるLv2アシストを擁しており、後攻2ターン目に使うには最適だ。
そんな思惑を持つ中で、相手が後2Tに0面要求してきたらどうなるか。
バン「下敷き7枚を作るのが遅れる」
マドカ「リミット6しか出せないし、ムジカ//スプリットで1面空かないから、先3Tに3面要求を作るのが面倒」
過去の常識に囚われていると、テンポを外された気分になるだろう。
「後1T2面要求、後2T0面要求」というアンバランスなプレイングが、正当化されてしまう展開に、違和感を覚えるかもしれない。
だが、常識は変わるもの。
勿論絶対の正解とは言わないが、このバンVSマドカというマッチングにおいては、アンバランスなプレイングこそが正着となるのだ。
3.後攻1ターンあればオールスターは終わる
いかがだろうか。
常識を疑ってこそ、新たな構築、新たなプレイングの可能性が生まれる。
その一例を示せていたとすれば、幸いである。
対戦後、意欲の高い方であれば感想戦を行うこともあるだろう。
だが、せいぜい終盤数ターンの攻防を振り返る程度で、後攻1ターン目を省みることはまず無い。
しかし、勝敗は目に見えない段階、早ければ初手の段階で決まる可能性もある。
1ターン目から油断はできない。
何せ、オールスターの世界では、後攻1ターン目からルリグ無限パンチが飛んで来るのだからな―――