最近、相続のご相談が増えてきました。
その中で「生前の相続対策」の話になると、よく出てくるのが「相続時精算課税」や「暦年贈与」です。税務的な仕組みやメリット・デメリットを説明する中で、私は必ずこう付け加えます。
「もちろん、贈与で次の世代に渡すのも大事ですが、“自分で使うこと”も大切ですよ」
すると、ある方からこんな返事が返ってきました。
> 「自分で稼いだお金ならいいけど、今ある財産は亡くなったおじいさんや主人が築いたもの。それを私が使うわけにはいかないんです」
その言葉を聞いて、ハッとしました。
確かに、私の中では「自分の財産=自由に使えるもの」という考えが当たり前になっていましたが、人によっては財産そのものに“物語”や“想い”が込められているのです。
稼いだ本人の努力や人生がそこにあり、その想いを尊重して、むやみに手をつけない――そういう価値観があるのだと改めて気づきました。
一方で、もしそのお金を使うことで本人の暮らしがより豊かになったり、家族の時間が増えたり、心が満たされたりするなら、それもまた亡くなった方の望みなのかもしれません。
「財産は守るためだけにあるのではなく、活かすためにある」という考え方もある。
お金や財産の扱い方は、数字や制度の話だけでは語り尽くせない。
そこには、それぞれの家族の歴史や想いが深く関わっているのだと、改めて感じた出来事でした。