■竣工パーティー | 根岸俊雄の住まいづくり入門

■竣工パーティー

第13章 竣工だ、お祝いだ


■竣工パーティー


○竣工パーティー
 十一月の末が、「土間の家」の竣工パーティーです。建て主夫妻からお招きを頂きました。たいへんうれしい気持ちです。設計者は、お祝いに陶器の花瓶を持って、おじゃましました。
 出席者は、まず、建て主の親族の方達、計七名です。次に、建て主夫妻と息子さんの計五人。そして、工事関係者は、施工者の代表である工務店の社長さん、そして設計者側として私と現場担当の所員の、計三名です。全体で十五名でした。
 会場は食堂と居間で、間の建具を開け放して行われました。食堂と居間は段差がありますが、食堂の食卓と椅子の席は、居間の座卓と座布団の席と目線の高さが丁度良い具合です。両方のスペースがうまく一体化します。
 いろんな料理が、台所の方からこちらの方へ流れるように運ばれてきます。
みんな設計通りの使い方や物の流れになっています。安心です。


np13-1 (写真:居間から食堂を見る)

○食堂はお年を召した方達
 食堂の食卓と椅子には、主に建て主の御主人側の親族の方々が坐りました。みなさん比較的お年を召した方達なので、足が楽な椅子で、丁度良い具合でした。トイレに立つにも便利です。
 部屋は足元の床暖房と空調の暖房とで、心地良い暖かさです。御主人は台所のレンジフードの下でタバコをふかしながら、みなさんの話を立ったままで聞いています。食卓のお客さんたちは、話の合間に、ガラス屋根から空を眺めたりしています。


○居間は比較的若い者達
 居間の板の間の座卓と座布団には、主に奥さんの親族の方々、そして我々工事関係者が坐りました。ここは比較的年令が若いので、話も賑やかです。しかし天井が高いので、声が反響してうるさくなるようなことはありません。居る人数も多いのですが、大きな空間ですので空気が淀んで息苦しくなるようなこともありません。
 我々工事関係者は、いろんな人から何回も、家の出来栄えを誉めてもらいました。ありがたいことです。思わず顔がにっこりとしてしまいます。


○ロフトは子供達
 建て主一家の子供達は、自由にあちこち動き回っています。しかし、しだいに、ロフトに陣取るようになっていきます。やはり、ロフトは面白そうなところなのです。こういうパーティーではうってつけの場所です。
 彼らは、ロフトの端に腰を掛けて足を下に垂らし、肘を手摺についてあごを支え、面白そうに下を見下ろしています。上の彼氏たちが観客で、下の我々は見世物みたいなものです。それでいいのです。


○竣工ビデオを流す
 設計者達の席の目の前にテレビがあります。設計者達は先日撮影した竣工ビデオを持ってきていましたので、それを再生して流しました。
 ところが、だれも見てくれません。設計者達も、段々おしゃべりにいそがしくなってきます。ビデオは、もう、誰も見ていません。現物が目の前にあるので、ビデオをわざわざ見る必要がないのでしょう。まあ、いいでしょう。
 そのビデオは竣工祝いとして、建て主夫妻にプレゼントして帰りました。


「おばあちゃんちの楽しかった土間」の写真および図面

http://www.negishi-arch.co.jp/houses/kosigaya-w2