創価学会員なら、ほぼすべてが暗唱していると思われるのが、この言葉で始まる御書・・・。


「我並びに我が弟子・諸難ありとも疑う心なくば自然に仏界にいたるべし、

天の加護なき事を疑はざれ現世の安穏ならざる事をなげかざれ、

我が弟子に朝夕教えしかども疑いを・をこしてみなすてけん

つたなき者のならひは約束せし事を・まことの時はわするるなるべし」 

                        ~~ 開目抄・下 234ページ~~


この御書は良く勉強していましたが、本当の意味をわかって読んでいたのかを聞かれると、

正直自信がなくなってしまいます・・・。

この御書の冒頭の部分に、「我並びに我が弟子」とあるのが一番大事だと思います・・・。

日蓮大聖人御自身が、「私と私の弟子・・・」と言われているのは、それ以後の言葉が、

それだけ十分に心して行かなければならない事だということだと思います・・・。

では、何をそれだけ注意しなければならないかというと、「疑うこと」なのです・・・。

釈迦も予言している通り、この信仰を保つものは様々な難に遭うものなのです・・・。

その様々な難に遭った時に、『疑う心』がなければ「自然に仏界の境涯に至るのです」と

断言されています・・・。

このことというのが、とても難しいことなので、日蓮大聖人が自分を含めて私の弟子も、

共にしっかりと気を引き締めないといけない重要なことなのだと言われているのです・・・。

開目抄は日蓮大聖人が流罪で佐渡にいる時に書かれた御書であり、それまでの様々な大難を

経験された上でのご執筆なので、御自身の様々な難でたくさんの信徒の退転を

経験された中で、御自身の中でも様々な葛藤があったのだと推察されます・・・。

「諸天よ!なぜ法華経の行者を護(まも)らないんだ・・・!!」と、信徒が多数退転する中、

ご自身も疑いを起こす寸前まで行かれたのではないでしょうか・・・?

大聖人でさえも疑いを起こしそうになるぐらいの大難が、いつ襲って来るかわからない・・・。

何人たりとも油断してはならないという、厳しい状況には変わりのないことを、

御自身も同じ環境に置かれていて、心をひとつに切り抜けて行きましょうとの気持ちで

表わされた言葉だったのではないでしょうか・・・?

『疑う心』とは、日蓮大聖人と御本尊様を信じられなくなってしまう心ということです・・・。

さらに言えば、この信心を信じられなくなることです・・・。

信心とは、『信じる心』と書くように、信じられなくなったら全く意味がなくなってしまいます・・・。

この世の中で生きている限り、大前提として「信じる」ことができるから生活できているんです・・・。

お金が通用すると信じているから、買い物が出来るし安心してお金を出す・・・。

買い物している食品に毒が入っていないと信じているから、安心して買えるんです・・・。

『疑う心』というのは、このようにそれまで信じていたことを疑ってしまう心です・・・。

そうなってしまったら、何も出来なくなってしまいます・・・。

かと言ってすべてを疑いもなく信じなさいと言われているのではありません・・・。

生活の中心になる、基本となる「信仰」について疑いを起こさずにということなのです・・・。

疑う心さえなかったら、自然に、どんなことにも粉動されない最高の境涯(仏界)に到達できると、

指南されているのです・・・。

どんなことで『疑う心』を起こしてしまうのかの例を、その後に書かれています・・・。

信心をする人を、諸天善神が守るという教えがありますが、私は守られていないと疑ったり、

今この世の中で安穏に生活できていないじゃないかとか、幸せとは言えないじゃないかと、

疑ったり嘆いたりしてはいけないと言われているのです・・・。

弟子達には、朝な夕なに口を酸っぱくして言っているのに、皆捨てて去って行ってしまった・・・。

信仰心の弱い愚かな人のほとんどは、「疑いを起こしてはいけない」という大事な約束を、

本当に大切な時に忘れてしまうということ・・・、とても残念なことであると嘆かれています・・・。

何だか防災の時の心構えのようですよね・・・。

再三言われていること、聞いていることを、いざその災害が起きた時には実践できない

そんな人間の性(さが)を掘り下げて言われているように感じます・・・。

この御書が、それ位厳しい状況に置かれた時の信心の姿勢を指摘されたご指南であることを、

どれだけの人がその重要性を判って暗唱しているのでしょうか・・・?

僕は表面上の、「疑いを起こしてはいけない」ということだけを重点に覚えていました・・・。

今後はこの深い意味を噛み締めて、この御書に接するたびに身を引き締めて行きたいと思います・・・。



今日は、この辺で・・・、出羽股之介・・・。