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2013/12/14(土)   天候:快晴

コース:日向大谷-会所-八海山-清滝小屋-産泰尾根分岐-両神神社-両神山-両神神社-産泰尾根分岐-会所-日向大谷
7:45出発、14:05帰着 6時間20分

 いくら天気予報が優れ、快晴の空の下での山行を期待させてくれる週末でも、そろそろ自重する必要を感じる師走の気忙しさです。大掃除をさっさと終わらせて、三十日過ぎに今年最後の山に出向くため、ここ最近、毎週末に続いている山行は今日を最後に、6週連続で一旦止めておきましょう。そしてあれこれと悩みが多い行先の選定となります。今年の秋の予定として挙げた遠方の三座、浅間山、御座山、そして両神山。秋の予定が冬になってしまいましたが、せっかくの土曜日で天気予報は良好です。予定にした三座を完登するため、残された一座であり日本百名山にも数えられる、奥秩父の名峰両神山に迷いなく決定です。
 高速道路は一切使わず、甲府より雁坂トンネルを抜けて、埼玉県秩父市を走り抜けて到着した、登山口となる日向大谷の遠いこと遠いこと。それでも早朝故に短縮された移動時間だったことでしょう、そう思うと帰路の車中が不安になってしまところです。結局、甲府市内と富士宮市内で渋滞となり、運転時間は朝の1.5倍となってしまいました。
 日本百名山の一座とはいえ、紅葉を過ぎ降雪を迎えるだけのこの季節、訪れるハイカーも少なく駐車場は混雑とは無縁です。頭上を仰ぐとそこには真っ青な空が広がり、標高差1、000mを越える今日の行程への出発を気分の良いものにしてくれます。そして登山口となる両神山荘から神社の鳥居を抜け、山頂下には両神神社が祭られて、信仰の山でもあるこの山の頂を目指します。
 葉を落とした木々に囲まれた登山道を、サクサクと落葉を踏みつけて進む初冬の行程は私が最も好むものであり、味わい深い情景です。そしてその行程が急登りではなく緩やかに上っていくものならば、気分の良さは尚更です。この日向大谷からのコースの最初30分程は正しくそんな風情があり、穏やかに進む一時です。しかし七滝沢コースとの分岐となる会所を過ぎると、進む道は急登となりその穏やかさは一変します。標高差を考えれば当然のことかもしれません。そんな緩やかな道が続くのならば、登頂にはいったい何時間掛ってしまうことでしょうか。そして沢のせせらぎに心が救われる行程を黙々と進み、清滝小屋に到着し小休止です。
 今では営業をすることがなくなり、通年避難小屋となっていることがもったいなく思える程に、この清滝小屋は立派です。登山口から2時間程で到着できてしまう立地故の需要不足でしょうか、些か残念な気がします。そして先客のハイカー数名と他愛のない言葉を交わしながら休憩をとり、尚も厳しくなって急登に向かい、頂を目指す残り1時間強の行程です。
 七滝沢コースとの合流点を抜けると稜線に出合い、幾つかの鎖場を越えて両神神社に到着します。この神社の狛犬は“犬”ではなく“狼”でつまりは“狛狼”です。不勉強のため断定は致しませんが、昔々この一帯では狼が信仰の対象であったことの影響とのことです。あくまで聞きかじった話ですから、恐縮です。そして尚も歩を進む視界が一気に開けるとそこが山頂です。
 とにかく素晴らしい青空を背景とした、360度の大パノラマがお出迎えです。少しばかり木々に邪魔される方向もありますが、遠くは富士山まで望める澄み渡った大気の状態です。浅間山、北アルプスも遠くに見えて良い景色なのですが、ここでの眺望一番はやはりすぐそこに連なる奥秩父の山々でしょうか。富士山がある風景のような、圧倒的な主人公は不在ですが、何となく落ち着きを感じる良い風景です。総じて風は穏やかですが、時折身震いする程の冷気を運ぶその風は、冬の澄んだ大気と引き換えにされた負の部分でしょうか、これも致しかたありません。そして一時間程の休憩を終え下山の途へと向かう時間です。
 清滝小屋までは下らず、七滝沢コース選んだ下山路は、登ってきたコースよりは少々遠回りなのですが、コース上に点在する凍った滝を見ながら進む静かな行程です。そして会所で元のコースに戻り、今日も無事に日向大谷に帰着です。時間的にはゆとりのある今日の山行でしたが、足腰に感じる疲労はこの山の奥行きの深さでしょうか。標高差が同程度の山々以上に歩行距離を感じた今日の山行でした。しかし最後まで崩れることのない青空には感謝です。気分の良い静かな山は本当に良いものです。今年はあと一座でしょうか、さて何処を目指すか思案のしどころです。


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