2013/11/16(土) 天候:快晴
コース:車坂峠-トーミの頭-黒斑山-蛇骨岳-仙人岳-Jバンド-前掛山-前掛山登山口-湯ノ平口-トーミの頭-車坂峠
7:30出発、15:25帰着 7時間55分
前日の天気予報では、中部日本は一様に高気圧に覆われた爽やかな秋晴れで、まさに小春日和とのことです。本来の予定ならば紅葉ど真ん中の十月中旬に訪れるはずであった浅間山、しかしながら前回記述した通りでそれが叶わず、満を持して初冬の訪問となるはずでした。しかし前日から未明に掛けて降ったことであろう雪により、初冬の予定が真冬のそれに変わってしまったまさかの雪山登山です。
早朝から4時間にも及ぶロングドライブは、中央道長坂ICを降りてからの一般道が長いこと長いこと。道中退屈な思いをしながら順調に車を走らせましたが、登山口のある車坂峠の4km程手前から路肩の積雪が目立ち始め、2km程手前からは夏タイヤ装着の我愛車では太刀打ちできぬ程の路面凍結となり、仕方なしにチェーン装着です。想像を超えるまさかの気象状況に困惑してしまいますが、万が一を考えチェーンを積んでおいて大正解でした。そして車で進むことを諦めて、ツルツルの路面を歩いて登山口を目指すと云う二人連れに声を掛け、彼らを同乗させてガリガリとアイスバーンを踏みしめて進み車坂峠に到着です。
白銀の世界からの山行開始は、軽アイゼンは持参しているとは云え、雪山用の装備は不十分で多少の不安を残します。そしてまずはトーミの頭を目指し、眺望に恵まれていると云われる“表コース”を進みます。辺りは一面の雪化粧ですが、見上げた空は抜群の青さを誇り加えて風も穏やかです。天気予報通りの最高の秋晴れで、歩き始めると寒さを感じることはありません。15cm程積もった未だ踏みつけられてはいない新雪の登山道は歩きやすく、軽アイゼンの装着は不要の様子です。そして朝の澄んだ空気と明るい日差しの中を進み、正面に浅間山の絶景が見て取れるトーミの頭に到着です。
目の前に鎮座する雪化粧の浅間山は美しく光り輝いています。そしてその右側に続く雲海の奥に窺える八ヶ岳の山々、そしてその彼方に浮かび上がる富士山。反対側の景色もまた素晴らしく、頂付近を白く染めた北アルプスの山々が連なっています。しかしここでの主役は浅間山、とにかく素晴らしい眺めです。以前誰かに聞いたことのある台詞「浅間山は登る山ではなく見る山ですよ」が素直に納得できてしまいます。
最高の青空を背景にした浅間山を左手に眺めながら、足跡からして先行者が一人いることであろう稜線を進んでいきます。そして黒斑山、蛇骨岳と進み右手に田代湖、草津白根山などの眺望が開けると仙人岳となり、前掛山登山口への下降点Jバンドに到着です。そしてJバンドを下らず鋸岳へ進んで行った先行者に代わって、仙人岳付近で私を追い抜いて行った体力自慢風の二人組の踏跡を辿ってJバンドを慎重に下り、賽ノ河原を横切り前掛山への登山道の合流点を目指します。
何処をどう間違えてしまったのか、目の前に見える前掛山への登山道を目指し進んでいると、浅間山への法面を登っていたらしく、地図上での合流点よりも随分と標高の高い場所で登山道と合流することとなりました。雪上だからでしょう、賽ノ河原でのルートを発見できなかったことが幸いして、体力、時間ともに随分と得をしてしまった感じです。そして浅間山火口への立入禁止表示板を過ぎ、火口の淵をゆっくりと進み今日の最終目的地、前掛山に登頂です。近年大きな噴火が無いとは云え、蒸気の吹き出している様子が窺える場所もある現在進行形の活火山、行政指導を無視して前掛山より先に進む愚行者もいるようですが、ここで十分過ぎる浅間山(前掛山)の山頂です。そして朝から変わらぬ青空の下で暫し眺望を楽しみ、そして下山の行程です。
前掛山からは一気に下り湯ノ平口に出くわすと、そこから頭上に見えるトーミの頭までが標高差約400mの登り返し、“草すべり”の憂鬱な行程です。しかしここをクリアしなければ車坂峠に帰り着くことはできません。残させた気力と体力を前面に出し、何とかここをやり過ごしトーミの頭に再登頂します。そしてここから車坂峠までは“中コース”を選び、緩やかに下る気楽な行程で路面の凍結が完全に消えた車坂峠に無事の帰着です。
日の短いこの季節、時間的にタイトな今日の山行でしたが、まさかの雪山に驚きと喜びを得た一日となりました。これ以上の雪深さになれば今日と同様の行程は難しくなることでしょう。その辺りから察すると、今日の山行は本当に恵まれたものとなりました。帰宅の道中も長々ですが、ゆっくり安全運転の車中です。