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2013/11/09(土)   天候:曇り

コース:強羅駅-宮城野橋-大文字-明星ヶ岳-林道出合-塔ノ峰-阿弥陀寺-阿弥陀寺入口
9:10出発、14:25到着 5時間15分

 山で出会い言葉を交わす機会の多い、定年退職後に山を始めて日本百名山の踏破を目指す、還暦を過ぎた先輩方は皆一様に若々しく、心身ともに健康であることを感じさせます。体調を崩し一ヶ月以上も山に出向けぬ辛い週末を過ごした若輩者の小生としては、先輩方同様に充実した還暦後を迎えるために、健康に留意しなければなりません。決して簡単なことではありませんが、可能な限り好きなことを長く続けるためには当然のこと、努力なくして都合の良い未来が訪れることはないのでしょう。
 久しぶりに体調が整った週末を迎えましたが、そもそもは体調を崩している最中に予定を組んだ、こちらも久しぶりの同行者と一緒の山行です。有閑サラリーマンとはいえ懇意にさせてもらっている取引先はあり、その取引先に勤める方々が今回の同行者です。それも若く素敵なお嬢さんお二人となれば、予定を履行するために数日間は晩酌を控えてでも、体調を回復させる努力を惜しむことはありません。そして行先は箱根の明星ヶ岳、山デビューのお嬢さん方が山を嫌いにならず、そしてある程度の満足感を得てくれれば!と考え決めた強羅駅から箱根湯本駅に抜ける縦走路です。
 小田原駅から箱根登山鉄道に乗車し、終点強羅駅まで電車に揺らされて向かいます。そして強羅駅からの進行方向に聳える、ピーク下に“大”の字が大きく刈り込まれた山を目指し今日の山行開始です。まずは宮城野橋までの階段を下り、企業の保養所が立ち並ぶ集落を抜け、そして紅葉の登山道へと繋がります。決して晴天とは云えぬ空模様ですが、雨の心配はなさそうです。時間にゆとりの秋の紅葉ハイキング、小休止を何度もとり時間を掛けて進んで行きます。そして強羅駅を発ってから1時間半程すると視界が開け“大文字”に到着です。
 残念ながら朝からの曇天に変化はなく、空の青さに恋しさを感じてしまいます。しかし紅葉鮮やかな辺りの山々の眺望を邪魔するものはなく、これから冬へと向かう落ち着いた山の風情を楽しませてくれる良い景色です。少しばかりの肌寒さを感じながらその景色を暫く楽しみ、そしてもう少し先にある稜線を目指し、今日最後の急登に身を置きます。
 明星ヶ岳と明神ヶ岳を分ける稜線に出合い、ススキの穂に時折邪魔をさせながら、笹の刈り払われた歩きやすい尾根道を進んで行くと明星ヶ岳に登頂です。眺望に恵まれた訳でもない鳥居と祠があるだけのピークですが、不思議と趣があり、秋の静かな尾根道との融合が何故か落ち着いた雰囲気を与えてくれます。やはり静かな山は良いものです。そして尾根道を尚も進んだ場所で昼食を済ませ、あとはゆっくりと下山路を進むばかりです。
 稜線を緩やかに、そして塔ノ峰への下降点からは急斜面を下り、舗装された林道に出合います。そしてその林道を少し歩き塔ノ峰の登山口へと続いていくのですが、そこは林道と云っても結構な自動車の通行量で、歩道が整備されていない分危険を感じてしまう始末です。流石は開発され尽くした箱根の山々、もしかするとここは立派な市街地なのかもしれません。そして登山道に戻り途中相模湾の眺めを楽しみ、塔ノ峰を目指しのんびり進み眺望のない寂しげなピークに到着です。
 塔ノ峰を過ぎると今日の山行もいよいよフィナーレです。樹林帯の中の登山道を下り、阿弥陀寺を通過して無事に塔ノ沢駅上の阿弥陀寺入口に下山です。そして下山口の目前にある日帰り温泉で汗を流し、美味しい食事とビールの待つ夜の街へと導かれます。これが電車で出向く山行の一番の楽しみなのかもしれません。
 久しぶりに同行者と一緒に歩いた山中は、一人のそれとはまた異なる山の魅力を与えてくれます。今日が山デビューの同行者お二人もまずまず満足してくれた様子、次に機会があるときは最高の青空の下での眺望を楽しんでもらいたいものです。近いようでなかなか歩く機会に恵まれない箱根の稜線、下山後すぐのビールを楽しみにまた電車で出向くことも良いかもしれません。