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2013/09/29(日)   天候:快晴

コース:五竜山荘-五竜岳-五竜山荘-白岳-大遠見山-小遠見山-地蔵ノ頭-アルプス平
5:20出発、11:30帰着 6時間10分

 なかなか寝付けぬ辛い夜でしたが、気が付けば朝になっているのですから不思議なものです。夜中に一度目を覚ました時刻などを考えると、少なくとも5時間程は夢の中にいた計算です。それに加えて、疲労回復には十分過ぎるほど布団の中で過ごせたので、意外に気分よく早朝4時の起床です。そして多くの宿泊者が既に起床しガサガサと身支度をしている廊下を抜けて、屋外に出て満天の星空観賞です。今日の晴天をはっきりと知らせてくれる最高の星空を数分眺め、二十数年ぶりの流れ星に感動です。そして身支度を整え5:00から始まる先着順の朝食に備え、食堂前の列に並ぶ朝の一時です。
 幸いにも初回組での朝食を済ませ、まだ日の登らぬ屋外に出て五竜岳の登頂に向かいます。ご来光を山頂から楽しむ目的で先行しているハイカーの、ヘッドライトの灯りが山頂下の登山道に点々と輝いています。これからご来光を迎える東の空はとても澄んでいて、八ヶ岳や南アルプスの山々勿論、遠く富士山までもが赤く染まった雲海の上に浮かび上がり美しい姿を見せてくれています。そしてそんな中でのご来光、美し過ぎて感動の一言です。これだから山は止められません。そして赤く染められた進行方向に向かい、岩場を淡々と進み、6時を少し過ぎて五竜岳に登頂です。
 「素晴らしい」そして「素晴らしすぎる」。雲一つない青空の下に、360度遮るものがない最高な眺望のお出迎えです。澄み渡った朝の空気を気分よく吸い込むと、目前に控える鹿島槍ヶ岳、立山、剱岳、昨日歩いてきた唐松岳からの稜線、そしてその奥の白馬三山の眺めに、こんどはこちらが吸い込まれてしまいそうです。そんな目前の景色の奥には富山湾や富士山などの遠い景色があり、そしてそれらが良い感じに調和し、ここ五竜岳からの素晴らしい眺望を提供してくれています。まさに絶景です。
 しかし登頂してから数分後に驚きの事態を知らされます。私が登頂する30分ほど前に、ここ五竜岳山頂から滑落した方がおり、現在も私の眼下100m程の所で救助のヘリコプターを待っていました。その滑落現場を見てしまった方に云わせると、まさしくコロコロと転がりながら落ちていったとのことです。そしてその原因となった場所を教えて貰うと「なぜこんな場所で?」・・・。頭部に傷を負っている様子ですが、命に問題はないとのこと。改めて己への注意を喚起して、思うことが多い山頂滞在となりました。私の知る限り、ヘリコプターが救助に来た様子はありませんでしたが、翌日のヤマレコにて無事に救助された旨の記事を読み、ちょっとした安心を覚えた次第です。
 1時間程の山頂滞在を終え、いつも以上の神経質で登ってきた岩場を下り、まずは五竜山荘に帰着です。デポしておいたザックを背負い、稜線上からの昨日と今日の素晴らしい眺望に別れを告げ、遠見尾根を下る下山の行程です。標高2,000m前後で細かな登り返しが続くこの下山路は、時間、距離ともに長々と感じられ退屈な行程です。しかし変わることのない朝からの快晴は、振り返れば所々で白馬三山から鹿島槍ヶ岳まで続く稜線の眺めを楽しませてくれます。そして辺りの紅葉とはミスマッチの汗ばむ程の陽気の中、小遠見山を越えて、白馬五竜スキー場のゴンドラの発着駅“アルプス平”に到着し、最高だった秋の山行も終了です。
 ゴンドラを降り、タクシーに乗り、そして八方尾根スキー場に戻り、こちらも長々続く帰宅の途です。最高な天気の二日間は、最高に気分の良い思い出を残してくれそうです。気分の良い縦走、混雑した小屋泊、抜群の眺望、そして滑落事故。滑落事故は蛇足の感がありますが、これも経験値としましょう。「反面教師」「他山の石」「対岸の火事」などど、ことわざばかりが頭に浮かんできますが、要は己を律することが大事なのです。とにかく安全第一、それしかないですよね。


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