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2013/07/26(金)   天候:晴れ時々曇り

コース:-鳥川林道ゲート前-三股-まめうち平-蝶ヶ岳ヒュッテ-瞑想の丘-蝶ヶ岳-蝶ヶ岳ヒュッテ
7:50出発、13:40到着 5時間50分

 中途半端な天気予報の表示は拡大解釈を招き、後悔を生む結果となることもあります。“雨ならば雨”、“晴れならば晴れ”、と白黒はっきりした天気予報も時には必要です。これ以降の数週間に宿泊山行に出向けぬ都合を抱える者としては、控えめに表示された晴れマークに過度な期待を持ってしまいます。それは完全なる冷静さの欠如なのですが、浅はかな山好きとしましては仕方のないことかもしれません。
 南アルプス南部の天気予報はまずますですが、北アルプスの天気予報は総じて良好とはいえません。しかしながら一泊二日の予定で出向くには、南アルプス南部の山々には少々の手強さを感じます。ここで前述の拡大解釈が発生し、三股登山口より蝶ヶ岳と常念岳の周回となった次第です。
 このルートの場合は、どちらから回るのかが問題になります。そしてその回る方向により、宿泊先も蝶ヶ岳ヒュッテか常念小屋の二者択一を迫られます。幸いにもどちらの小屋も宿泊予約に神経質なことはないため、登山口でその時の天候等を考えて決めることとし、通常の山行よりも幾分遅めの自宅出発です。このルートはどちらから回るにしても、一日目はひたすらに登るだけとなり、二日目は稜線歩きが加わる長丁場な行程となります。
 駐車場に到着すると天気はまずまず、今日の今日に崩れる心配はなさそうです。二日目の常念小屋から常念岳への約一時間の登り返しを避けることを決め、今日は三股から蝶ヶ岳を目指すこととしました。7:50の出発は時間にゆとりのある行程です。標高差約1,400mの急登りですから、のんびりゆっくりと進み体力の消耗に配慮したいところです。所々に泥濘はあるものの、踏み固められていてまずまずの状態である登山道を、“ゴジラの木”を越えてゆっくりと進み“まめうち平”に到着です。そしてここで今日初めてザックを下して休憩となります。
 休憩を終え更なる前進となりますが、ここからは足元に大きな石が目立ち始め、それがピーク下の眺望が開ける場所まで続きます。前半の体力温存には成功したつもりでいましたが、800m程の標高差を越えた辺りから身体が重く感じだし、少し進んでは立休みを繰り返します。木々の隙間から差し込む弱めの日差しと、時折顔を出す左手の常念岳に励まされ、「霧が湧いてくる前にこの眺望を是非に稜線から」との思いだけで脚を前に上にと運んでいきます。重い荷物の負荷以上にここ数か月の運動不足は顕著で、「はやりこの夏は一泊二日の山行が限界だな」と痛感です。その辺りの弱気が翌日の常念岳撤退に繋がるのでしょうが・・・。しかし数か月苦しめられた足の痛みも、今は完全に癒えたため秋のロングトレイル踏破に向けてそろそろトレーニングを再開です。
 立休みついでに登山道脇に咲く黄色や紫色の可憐な花々に目を奪われながら進み、大滝山への分岐を過ぎ、森林限界を超えると視界が一気に開き稜線はすぐそこです。この季節故のこれ程までに可憐な山野草を沢山眺めていると、それらの知識を全く持っていない自分がすこし寂しくなってしまいます。そろそろ書店へ山野草ガイドを探しにいかねばならない予感です。私も一歩だけステップアップでしょうか。
 稜線に出合うと左側すぐそこが山頂で、右側すぐそこが蝶ヶ岳ヒュッテです。まずは登頂前にヒュッテの受付を済ませて寝所に荷物を置き、ヒュッテを挟んで両脇にある山頂と瞑想の丘へ行き眺望を楽しみます。稜線上に連なる細かなピークの先に聳える常念岳は上品な雰囲気で、心の落ち着きを感じる美しい眺めです。そして谷底の上高地を挟んで対面に連なる穂高連峰は雄大で圧倒的な存在感を見せつけてくれます。残念ながらこちらは頂付近に雲がかかり全体的にも霞がかった様子で、本来ならば見えたのかもしれぬ槍の剣先は窺えず、些か残念な眺望となりました。
 十二分に眺望を楽しみ今日もお疲れ様のビールです。売店横のテーブルでくつろいでいると、流石は北アルプスの大規模小屋、続々とハイカーが到着し受付を済ませていきます。金曜泊まりにしては宿泊者が多い様子で布団のシェアを覚悟しましたが、そこは心掛けの良さでしょうか(笑)。二畳敷きの大きな敷布団を一人占拠の贅沢さで、居心地良くまずは昼寝を満喫です。そしてまずまずの夕食で満たされた胃袋も相まって、今宵も平穏な夢の世界に長期滞在です。疲れの溜まった両脚に心地よさを覚えながら、小屋泊まりにも随分と慣れてしまった私となりました。