イメージ 1
2012/10/05(金)   天候:快晴

コース:広河原-白根御池小屋分岐-大樺沢二俣-八本歯のコル-北岳-北岳山荘
6:55出発、14:50到着 7時間55分

 今年の夏山シーズンも終了に近づき、冠雪の話などもあちこちから聞こえだしてくる季節になりました。今年最後になるかもしれない高山は、本邦第2位の標高3,193mを誇る南アルプスの盟主“北岳”、そしてそこからの尾根続きに鎮座するこちらは本邦第4位の標高3,189mを誇る名峰“間ノ岳”へ、芦安駐車場より広河原経由の1泊2日で出掛けてきました。
 当初は奈良田に駐車して登山バスで広河原まで向かいそこをスタートして、農鳥岳を加えた白峰三山を縦走して奈良田へ戻るルートを計画していました。しかしマイカー規制のかかった広河原までの始発バスが平日8:50では広河原を10:00前のスタートとなり、その日のうちに北岳を経由して北岳山荘に到着することは困難になります。2泊3日の計画も考えましたが、今回は無理をせずに1泊2日で日本百名山2座を巡るルートとしました。
 車中前泊をせずに早朝ドライブで芦安駐車場に到着し、混雑とは無縁の金曜日の第1駐車場に余裕の駐車です。そして6:20発車予定が6:05に前倒しとなった始発乗合タクシーで芦安出発となりました。明るさが増しこれからの快晴を期待させてくれる空の下、対向車両の一切通らない早朝の林道走行はスムーズで、始発車両のメリットを最大限に発揮した乗合タクシーは、乗客に束の間の睡眠を与えながら快調に進んで行きます。運転手に声を掛けられて広河原到着を知り、眠っていた身体を始動させるべく、のんびりとした歩き始めで6:55の山行開始です。
 吊橋を渡り広河原山荘を抜けて樹林帯のなかの登山道を進むとすぐに白根御池小屋への分岐となります。そこで大樺沢ルートを選び沢沿いの緩やかな登山道を進んで行きます。樹林帯のなかの登山道は流れ出た沢の水により足元が不安定になる場所も多く、注意を払いながらの行程です。幾度となく沢を渡り返し進んでいくと、樹林帯を抜けて涸れた沢となった大樺沢の脇を上方にある雪渓を目指して進んでいき大樺沢二俣に到着です。そしてザックを下ろしゆっくりと休憩をとりこれからの急登に備えます。
 相変わらずの大樺沢の脇の登山道は雪渓脇の登山道へと変わり、傾斜を増しながら厳しい行程へと変化していきました。この辺りから紅葉が始まり、紅や黄に色づいた木々が真っ青の空の下、見事な程にバランスのとれた色彩模様を提供してくれます。しかし険しさを増す登山道は、そんな紅葉に見惚れる余裕を与えてくれません。高度を急激に上げたことも加味されたのでしょうか、「ハァハァ」と息が上がり立ち止って休憩を取る機会が増えるばかりで、少しづつ進んで行くしかありません。そして雪渓脇を通過し幾つかのハシゴ場を越えて“八本歯のコル”に到着です。
 そこから山頂までの急登はそれまで以上の厳しさで、途中で何度も弱気になり、北岳山荘へトラバースし登頂を明日に先延ばししようかとも考えました。しかし正午を過ぎてまだ霧の立ち込めていない青空を背にした山頂を仰ぎ見てしまうと、己を鼓舞して気持ちを前へ前へと持っていくしかありません。そして少し進んでは休憩をとることを何度か繰り返して、やっとの思いでの登頂することが出来ました。
 先客者1名の山頂では素晴らしい眺望が出迎えてくれました。鳳凰三山が雲に隠されていましたが、富士山、甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳、などの姿は美しく、そして圧巻は南アルプスを紹介する際に必ずと云っても過言では無いほどに使用される、間ノ岳への尾根伝いの光景です。これほどの素晴らしい眺めを与えてくれるすべてのタイミングに感謝し、頑張って登頂して本当に良かったと思いながら、北岳山荘へ向かい北岳山頂を後にしました。
 山荘では美味しいビールを楽しみ、山小屋としては上々の食事を頂き、翌日の晴天を期待して20:00の消灯前に早々の就寝です。高度1,700mを登ってきたのです。疲れていない訳はありません。しかし日帰りで北岳を往復する登山客が多いとの情報が、この山を甘く見てしまう原因になり、結果、体力を消耗し、痛い目に遭った訳です。やはり過信は禁物、謙虚でいないといけませんね。


イメージ 2

イメージ 3