純は声のする方を見る。すると、そこには大田東の制服を着た男性と女性が一人ずつ立っている。
「あなたたち、入部希望者かしら?」
女性の方が二人に話しかける。大人びた感じのする、テレビドラマに出てきてもおかしくないような美人で髪は長い。身長も165センチくらいはありそうである。
「ハイッ、そうでっす!」
仁が元気よく答える。
「僕は不条理倶楽部部長の有川崇史だ」
今度は男性の方が二人に自己紹介する。線は細いがこちらも背は非常に高い。180センチくらいはありそうである。
「同じく、不条理倶楽部副部長の井倉亜裕子よ」
続いて女性の方も自己紹介する。
「せっかくここまで来てもらって悪いんだけど、僕達の部では何人かの入部希望者を集めたあと、一ヶ月をかけて入部を認めるかどうかを決める試験をすることになっているんだ」
部長の有川が冷静で、そして柔和な感じで二人に説明する。
「試験…、ですか?」
純は思わず答える。
「そう、試験だ。そのために、君達には来週の月曜日に改めてここに来て欲しいんだ」
「これ、その試験を受けるための申込書なんだけど、あなた達持ってる?」
亜裕子が封筒を右手に持って、二人に見せながら尋ねる。
「いえ…、持ってないです」
純が質問に答える。
「じゃあ、あなた達に渡しておくから、来週の月曜日までに書いて持って来てちょうだい」
そう言って、亜裕子は二人に一つずつ封筒を手渡す。
「今はいないんだけど、僕達以外にも部員が何人かいるし、顧問の先生もちゃんといるんだ。今日二人しかいないのは、試験について二人で打ち合わせをしているだけだからなんだよね」
有川が言う。
「でも、他の人達も明後日には来るんだけどねえ」
亜裕子がフフフッ、と少しだけ上品な笑顔を浮かべながら、続けて言う。その微笑に純は思わずドキッとする。
「まあ、とにかく来週の月曜日に来てくれよ。楽しみに待っているからさ」
最後にそう締めくくると、有川と亜裕子ニッコリと笑う。
そして、最後のこの有川の言葉を聞いたあと、二人は教室を出るのだった。