「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」を観ました。
チャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる4週間を、「つぐない」のジョー・ライト監督のメガホンで描いた。
第2次世界大戦初期、ナチスドイツによってフランスが陥落寸前にまで追い込まれ、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた。
連合軍が北フランスの港町ダンケルクの浜辺で窮地に陥る中、
就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチルの手にヨーロッパ中の運命が委ねられることに。
ヒトラーとの和平交渉か徹底抗戦か、究極の選択を迫られるチャーチルだったが……。
(映画.comより引用)
素晴らしく最高な映画でした。文句がない。
もともとナチスの頃を描いた映画作品が好きでして、今作を楽しみにしておりました。
主役のチャーチルを演じたのは、ハリーポッターのシリウスブラック等でお馴染みのゲイリー・オールドマン。今作でアカデミー賞主演男優賞を受賞していました。
あのイケメンなおじ様がこんなおじいちゃんになってしまうなんて一体どんなメイクを施されているのか。このメイクアップアーティストの中に日本人の辻一弘さんという方がいて賞を取っていましたね。
コミカルな演技に魅了されました。もうゲイリーなこと忘れるくらい完全にチャーチルとしてそこに生きているんですよ。奥様とのやり取りもすっごく可愛くて。もうこれ観たら主演男優賞、ゲイリーオールドマンな事に納得しか出来ません。出来ませんけどアカデミー賞受賞式の頃今作公開されてないし、何なら受賞されてまだ公開されてない作品もありますからね(文句)。
秘書のミスレイトンを演じたのはベイビー・ドライバーのデボラ役のリリー・ジェームズ。可愛い。
内容は難しかったです。世界史とか勉強したの何年前ですかもう記憶がおぼろげでした。
昨年夏に公開された「ダンケルク」を思い出しました。ダンケルクにもチャーチルの演説がありましたよね。観てない方はこれを観る前でも後でも観た方が良いと思います。
ヨーロッパ諸国がナチスドイツによって陥落していって不安な情勢の中で無理矢理首相に任命され、ヒトラーに国譲って国民守る?国守るために国民を犠牲にする?っていうのをずっと考えてばかりの話です。
私はチャーチルの考え方やり方をかっこよくも感じました。
不仲だった国王ジョージ6世に、ヒトラーが唯一怯える存在だから味方するって言われるカリスマ性とか
苦悩の末に今まで電車にも乗ったことのないようなチャーチルが、国民の意見を聞いて自分の意思を固めて最後に演説するところとか、感情を揺さぶられました。
しかし、ナチスへの勝利には繋がったものの、彼の判断というか思想が確実に正しかったのかと言われたら、どうなのでしょうね。
チャーチルが作中に熱弁したヒロイズムが発端となって日本に原爆が落とされたわけですから。
彼が英雄呼ばわりされたのは戦争に勝ったという観点のみで、結局戦争の英雄って人殺しですからね。
和平の道を取らなかったからこそ今のヨーロッパが存在しているわけで、何が正しいかなんて史実で考えるのはナンセンスなのかもしれませんが。
今作の素晴らしいところは、ヒロイズムというものを安易に美化して済ませるのではなく、チャーチルという人物に正面から向き合う事で、チャーチルもまた、一歩間違えればヒトラーのように非人道的な存在になり得たのだという描き方をしているところです。周りから嫌われ、危険視され、理想主義だと煽られていた彼だからこそ、当時ヒトラーと互角に戦えると思われたのでしょう。
チャーチルは今を生きる人にもあまり好かれてはいない歴史的問題人物ですので、そんな彼に焦点を当てて作品が作られたのは大衆受けだけを狙った着想ではないと感じて私にとっては好ましいです。
ヒトラーは世界的に万人に存在を知られていますが、チャーチルももっと知られて深掘りされて然るべきなんですよね。
こんな映画を作れるイギリスはやっぱり最高なんですよね。
何度でも言いますがゲイリー・オールドマンは最高ですよ。