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「ナチュラルウーマン」を観ました。



ウェイトレスをしながらナイトクラブのシンガーとして歌うトランスジェンダーのマリーナは、
歳の離れた恋人オルランドと暮らしていた。
しかし、オランドは自身の誕生日の夜、自宅のベッドで意識が薄れたまま亡くなってしまう。
最愛のオルランドの死により思いがけないトラブルに巻き込まれ、
容赦ない差別や偏見を受けるマリーナは、
女性として生きていく権利を胸に前を向いて歩くことを決意する。
(映画.comより引用)



差別をテーマとした映画は気になってよく観ています。最近増えてきましたしね。
今作はチリが制作しています。チリはトランスジェンダーに寛容なわけでもなく差別問題もありますのでより注目視される事になりました。



オルランドが倒れるまでは優しくて美しい話なのですが、その後状況が一変して重くつらくなっていきます。


今作のポイントはマリーナの描かれ方です。


マリーナはどんなに酷い仕打ちを受けても、作中で「自分を差別するな」という旨の反論を一度もしていません。冷静です。
それがみていて余計に悲しくなり、また、彼女の強さを感じました。



マリーナはオルランドを殺したのではないのかと周囲に疑われ詰問されます。ところが自分のアリバイ、理由を答えていないのです。

これでは圧倒的にマリーナが不利なはずです。

ただ恐らく本当に答えていないわけではないのです。

周囲の人間が、色眼鏡で物事を見、異質であるマリーナが悪いと思い込んでいる、そういう視点で描かれ、あえて詰問している側にとって都合の悪い台詞を省いたのだと思います。



他にも今作では「あれ?」と思う違和感が何箇所かあります。恐らくそれぞれに意味があり、それは観る側の解釈によって変わるのですが


誰しもが、差別される立場、差別する立場、差別される者を救う立場、差別されている現場をあえて見過ごす立場に成り得るのだと
そういったメッセージ性を感じました。


自分を受け入れるというのは本当に勇気のいる、強い行いです。


マリーナを演じるダニエラヴェガもトランスジェンダーで歌手として活躍しています。
彼女以上の適役はいなかったでしょう。