ある方が、今日こんなふうに言われました。

「僕、凄く寂しいって思うことがあるんです」
「極端に言えば、世界中に僕ひとりじゃないかっていうほどの感覚」
「皆さんはどうですか?」

近いどうか分かりませんが、
私の場合は幼い頃に急に不安を覚えることがありました。

「私が今見ている世界は現実なんだろうか?」
「本当は私ひとりだけがこの世に存在するんじゃないだろうか?」

急に襲ってくる良く分からない不安。
小学生の頃が一番多かった気がします。

カウンセリングの勉強の中で
こうした事柄について学んだことがあります。
哲学の一分野に「実存主義」とか「実存哲学」というのがあります。
デンマークの哲学者セーレン・オービエ・キェルケゴール
ドイツのマルチン・ハイデガー
フランスのジャン=ポール・サルトル
ドイツのカール・ヤスパース等によって発展しました。

人間は気付いたら生まれていた。
生まれるときには、その意味は与えられてなかった。
私たちは自分で自分の存在する意味を見つけないといけない・・・

生き物の中で、人間だけが、死について考えたり、
生きる意味について考えたりするんですよね。

ふと、何のために生きてるんだろう?とか、
自分はいつ死ぬんだろうか?とか、
死んだらすべてが無になるのだろうかと考える。

で、不安になったり、無力感に襲われたりすることもある。

思春期の場合は特にそういう状態に陥りやすいのです。

でも、死・苦悩・争い・罪といった人生の「壁」を感じることは
悪いことばかりではないんですよね。

壁を感じることで、人生に意味を見いだそうとしたりして、
心の奥底に触れたり、
自分なりの生きる哲学を見つけていくことが出来たりする。

アメリカのアーヴィン・ヤーロムという実存療法家は、
「死」「孤独」「人生の意味」「自由」といった
究極の関心事に取り組むことをしています。

ヤーロムはセラピーの中で、死について正面から語り合うんだそうです。

セラピストが死について語り合うことを避けると、
それは「死について語り合うことは恐ろしすぎるものだというメッセージになる」
ということなんです。

そう、言葉にしないということは、
心の中のそれの存在を大きくしてしまうんです。

言葉にしないことは、
「死はそれほど怖い」と認めちゃったことになる・・・みたいな。

だから、今日みたいに話せるといいなと思います。

「孤独って、怖いよね。」

私も離婚してしばらくした時にありました。
これからずっと独りなのかな・・・
そう思った時、無性に寂しくなった気がします。

勿論、子どももいますし、両親もいます。
けれど凄く思ったのは、
朝起きたときに「おはよう」って言う相手が欲しいな~ということでした。
子どもはいつか巣立っていくかもしれません。
親は先にいなくなるのが通常です。
なんか、その家族とは違うんですよね・・・

『孤独感』というのは嫌なものです。

けれどそれを人に話すことで、
少し自分の心の中のテリトリーに
その気持ちをおけるような気がします。

言わないことは、無意識に、それに支配されちゃう気がします。

最近、困っている方にお会いしてて感じるのは、
言わないことの弊害です。

小学生の頃、または中学生の頃、こんな嫌な目に遭った。
こんなことがあって恥ずかしかった。
こんな気持ちを持っていた・・・

それらは、今となっては些細なことかもしれません。

けれど当時は自分にとっては一大事。
そんなふうに大きかった出来事を話さずに(話せずに)来たことで、
人生を左右するほどの強い思い込みや、
良く分からない不安感などにすり替わっていってしまう。

だから、良い感情も、悪い感情も、全て自分の中に受け止めて言葉にする。

そうすることで、感情を自分でコントロール出来るようになる気がします。

これ、難しい話じゃなくて、実は皆やっているんですよね。

おばちゃんは井戸端会議で・・・
サラリーマンなら一杯飲みながら・・・
あーでもない。こーでもない。
くだらない話してるみたいだけど、
出来事を咀嚼して、自分なりの意味を見つけたりしてるんですよね。

カウンセリングの原点はそんなところにあると思います。

勿論、カウンセリング=井戸端会議ではありません。

本物のカウンセラーは、短い時間で問題となっている出来事を
無意識の領域から引っ張り出すという難しいことをするのですから。

彼氏、彼女といったパートナーも、
良き理解者になれれば
その人にとって最良のカウンセラーやセラピストになれるでしょう。

心をフルオープンに出来る相手。
それって本当に得がたい貴重な存在です。

異性であれ、同性の友だちであれ。家族であれ。

「今日、こんなことがあったんだよ・・・で、こう思ったんだ」
「そうなんだ。どうしてなのかな?」

孤独感や、不安感、猜疑心、自己否定感。
そうしたマイナスな感情はなくならないかもしれません。

けれどマイナスな感情をなかったことにしたら、
それを丸ごと認めたことになっちゃう。

安心して話せる場所や相手を見つけて、
どんどん話をしましょう。
話すことで、その感情は少しずつ扱いやすくなると思います。

今日は凄く深くて良い話題を提供して頂きました。ありがとう。