「どりぃむスイッチ」 

夢へのスイッチを見つける場所
夢へのスイッチを入れる場所



私はずっとKの夢へのスイッチが見つけられないでいました。
彼は小さい頃からとても自由な子でした。

やりたいことはやる。
でも、やりたくないことはやらない。

「どうして?」
彼は良くそう口にしました。
何でも知りたがる子でした。

実験も好きでした。
他のテストは真っ白でも、
理科だけは100点に近い点数を取ったりしました。
疑問に思ったことは自分で試す子でした。

先生たちに愛される子でした。
とても優しい子でした。
くったくなく笑い誰とでも仲良くする子でした。

でも、やりたくないことはやらないので、
学校にいると辛い状況がしばしば起こるようになりました。

Kができないと連帯責任で班の皆が叱られました。
Kは学校へ行かなければ、
皆に迷惑をかけなくて済むな・・・
そんなことも考えるようになりました。

きっとサポートが必要だったのだと思います。
自分で自分がコントロール出来ないし、
苦手なことが多かった。

苦手なことの、どの辺りが苦手か・・・
私は良く理解することができませんでした。

家族は皆、彼にやりなさいときつく言うしか、
やり方が思いつきませんでした。

なぜ出来ないのか?
なぜ学校へ行けないのか?

充分に分かってあげることが出来ませんでした。

お互いにどうして良いか分からないまま、
時は過ぎていきました。

「どうして?」
今度はこちらが聞いてばかりでした。

Kは次第に口を開かなくなりました。
「言ってもムダ・・・」
「どうせ分かってくれない」
「最終的にお母さんは僕に意見を押しつけるだけ」
こっちは分かろうと思って話をしているのだけど、
Kから出てくる言葉はそんな感じでした。

私は理解したいと思いました。
本も読みました。
病院にも一緒に行きました。
ネットでも調べました。

同じような子の支援をしている方からも
少しずつ学べる機会を得ることが出来るようになりました。
そして、WISC-Ⅲの検査をして下さった先生から、
大きなヒントを頂きました。

理解は少しずつ出来てきたけれど、
ではどうすれば良いのか?と考えると・・・
今の日本の社会では、
Kのような子が得意な事を見つけて伸ばすのが
とても難しいと思うようになりました。

親の私が凄く追い詰められたのが、
不登校や無業状態を続けると
より一層日本の社会では受入れられにくくなるという点。

日本の社会はレールを外れた人に対してとても厳しい。
だから少しでも早く元に戻さなければ・・・

かといって、Kのように高校中退して家に居る子が
行ける場所って少ないのです。
そもそも、Kはやりたくないことは頑としてやらないので、
自分が行きたいと思える場所でなければいけない。

Kだけじゃなくて、
同じような人は多いんじゃないかな?
そう思って作ったのが「どりぃむスイッチ」です。
無いなら作ろう!と思ったのです。

Kは今のところパソコンにあまり興味を示さず、
どりぃむスイッチにはあまり来ません。

4月から別の高校へ入り直すという選択をしましたが、
それはそれで良いと思っています。

私は、来てくれている皆と何が出来るのか?
それを築いていくのが
今は楽しくて仕方ありません。

Kのためにと思っていたのが、
いつの間にか自分の夢へのスイッチが入っていました。

そして、それが講じて今はキャリアカウンセラーの勉強をしています。

昔・・・カウンセラーになれば良いのにって良く言われました。
娘には、物書きになれば良かったのにって言われました。

それって結構難しいんだよって答えていたのですが、
気がついたら毎日のようにブログを書き、
カウンセラーを目指している自分がいます。

夢へのスイッチはいつどこで見つかるか分かりません。
ただ言えることは、行動すること。
そして好きなことの中にヒントがあるってこと。

だれでも最初は素人です。
やったことなんて無いんです。
学校で勉強して、資格を取って・・・
そんな手順もあるでしょう。

けれど、それしか道は無いわけではありません。
いつでもどこからでも、やりたいことは実現出来る。

勿論、職業の中には
途中から目指すのがとても困難な仕事はあります。
けれど、それに近いことは出来ます。

どりぃむスイッチはそれを探せる場所にしたいし、
やり直しができるところにしたいと思っています。

先日、Kが学校に行きたくないと言いました。
昔の私ならオロオロして間違った声かけを
してしまったかもしれません。
でも今は違います。
ちゃんとKの心に寄り添える自分に成長しました。

Kが行くたくない原因が分かります。
どうしたら良いかも分かります。
私の父が
「さすがに勉強しとるだけあるな」
と感心してくれました。

でもその父も随分勉強してくれて、
Kをしっかりサポートしてくれています。

人は成長します。
サポートされる側も、サポートする側も・・・
経験を通して皆が成長するのです。

相談に来た方が成長し、
新しく相談に来た方をサポートしながら一層成長する。
成長のスパイラルを作っていきたいです。