4月、Kが中学3年生になる前に、
私はKと一緒に小児科を受診しました。
その小児科は学校カウンセラーの先生が紹介してくれた
発達障害を扱う小児科でした。

私がKの成育歴を口頭説明し、その後20の質問が書かれたプリントをKが記述しました。
先生とKが少しやりとりし、KはADHDという診断名を伝えられました。
そしてコンサータという薬が処方されました。

薬というのは副作用があり、少々心配ではありましたが、
これから受験生になるK、学校で叱られてばかりのKのことを思うと、
”ここで何とかしなければいけない!”と必死でしたから、
服用も仕方ないと思いました。

ただ私は薬の効果と副作用をKに与える以上
自分自身も実感しておきたいと思いました。
だから自分でも服用しました。

ADHDというのは、情報が入ってくると
それを上手くコントロールできなくて
小さなことにも気を取られてしまい
大切なことに注目することが難しいという脳の特性があります。

コンサータは情報伝達がスムーズに行われるよう
脳内分泌物がやたらキャッチされないように
キャッチする側に蓋をする作用があるそうです。

副作用としては、睡眠リズムへの影響、食欲不振などがありました。
自分も飲んでみて、なるほど覚醒作用があり集中力が保てるなと実感しました。
普段私自身、良くぼーっと眠くなったり、気が散って集中できないことがあり、
ADHDの特徴に当てはまるところがあるのですが、
コンサータを飲むとまったく眠気を感じず集中すべきことに集中できるのを
感じることができました。

そのかわり、動機というか・・・興奮作用が強く
体への負担もある程度感じました。

3年生になり、Kはコンサータを飲んで学校に行くようになりました。
担任の先生は2年生の時の体育会系の厳しい先生が持ち上がりになりました。
Kの服薬と診断名を伝え、Kの学校での様子を聞くと
以前より返答が早く集中力もあるとのことでした。

薬を飲んで一定の効果が出たことに私は胸をなでおろしました。
学校にも毎日遅れず、休まず登校しました。

診断名はクラブの保護者会でも公表しました。
「どうしてこんな簡単なことができないのかと
 迷惑をかけることもあるかもしれないけれど、
 例えば集合時間に間に合わなかった時はKを待たないで出発してほしい。
 宿題が中途半端で完成しないかもしれないけど・・・
 それでクラブに迷惑をかけないよう、クラスの担任の先生にも
 お願いをしているのでよろしくお願いします。」
そう言って私は頭を下げました。

クラス担任の先生ともKの宿題のことで話し合いました。
私はKが出来ないことは良くないと認識しています。
けれど、それで他の子が連帯責任でペナルティを受ける・・・
そこを何とかしたいと思いました。

けれど学校側の答えは、診断名を公表しないと
特別扱いは出来ないというものでした。

Kは、自分は普通だと言います。
Kにもプライドがあります。

私は悩みましたが、クラスの子に診断名を公表するのはやめてもらいました。
薬を飲んだことでKが頑張れたら何とかなると思いました。
服用を続けたKは学校では結構頑張れるようになったようですが、
食欲がわかないらしく昼は全く食事を摂りませんでした。

服用から2週間が過ぎ、薬の量が倍に増えました。
すると・・・Kは一転学校へ行くのを渋るようになりました。
理由は分からないのですが、朝、支度を始めると
途中で動かなくなってしまうのです。

私はKに学校へ行くよう必死で説得しました。
2時間目から・・・3時間目から・・・
最初の内は何とか遅れてでも学校へ行ったのですが
そのうち「今日は行かない」と言って
全く行かなくなってしまったのです。

理由を聞いても答えません。
「どうしても学校へ行きたくない。」としか答えません。

私は焦りました。小児科も再度受診して状況を伝えました。
病院ではコンサータを倍に増やした影響も考えて、
ストラテラとの併用を勧められました。
ストラテラは即効性は無いが、服用を続ける事で効果が出ると説明されました。

けれどKの不登校は続きました。
完全不登校の始まりでした。