中学2年生になると、体育会系の厳しい先生が担任になりました。
Kは学校で厳しく叱られるようになりました。

課題も最後まできちんとやりきらないと許されませんでした。
当たり前のことではありますが、Kには少し荷が重い様子でした。

体格的にはドンドン大きくなっていたKは、
教室では一番後ろの席に座るようになっていました。

参観日に見に行くと、足を投げ出し、めんどくさそうに頭をうなだれるKがいました。
『そんな態度じゃダメでしょ!』と、
私は後ろから叩きに行きたい気持ちを抑えつつ、ため息混じりに見ていました。

教室には個人の目標の紙が掲げられており、
その中の一つには”K君を注意する”と書かれていました。
先生がある合い言葉でサインを送ると
後ろの席の子がKの背中を叩いて注意するというルールも出来ていたようです。

中学2年生になっても、授業中ウトウトしたり、
手遊びをしたりして・・・
私にはそんなKが、何となく見えない大きなシャボン玉の中にいるような
そんな風に見えました。

クラブの子や、同じクラスの子と話している様子も
どことなくズレているような雰囲気を受けました。

Kは幼い・・・部活動での動きを見ても、少し不器用で拙い感じがしました。
無邪気な感じが憎めないキャラですが、
実際にKが宿題が出来ないことで班員全員が注意を受けたり、
クラブの部員全員がペナルティを受けそうになったりして、
いろいろとKが出来ないことが許されなくなってきました。

Kの”やりたくない病”と、不注意、そして言葉の少なさは
先生の反感と苛立ちをかい”別室指導”を受けることが度々だったようです。

Kは、だんだん学校が始まる時間になると腹痛を訴えて
トイレから出てこなくなってきました。
30分遅れで学校へ行くような日が増えてきました。
たまに体調不良を理由に休む日もありました。

私は相変わらず忙しく、帰宅は夜の9時~11時でした。
それからKの宿題を見ても、Kはもう既に眠くなっており、
学校の宿題が出来ない点はなかなか解消出来ませんでした。

どんなに注意しても簡単なことが出来ない(やらない?)Kについて
学校の見解は不真面目でした。
やれば出来るのにやらないと私も注意されました。

私の両親は厳しい人で、特に私の父はKのことが許せないようでした。
私は自分の両親、学校の先生、同級生の保護者など
いろいろな人からKのことで注意を受けました。

出来ない時はペナルティを与えるとか、
いくらかの体罰とか、逆に出来た時はご褒美とか、
思いつくことはいろいろ試しましたが、
どれもあまり効果はありませんでした。

唯一の方法は、誰かがKの側に付きっきりになり
Kに行動を起こすよう穏やかに働き続けることでした。

でも、幼稚園生でも無いKに
忙しい家族の中でそれをしてやれる人はいませんでした。

当時は療育という観点も無かったので
なおさら中学2年生にもなった男の子に
どうしてそこまでしなければならないのか
誰もそれが理解出来ませんでした。

生活の為に毎日忙しい、Kは学校で叱られてばかり・・・
一体どうすれば良いのか・・・
私は校内カウンセラーの先生に相談することにしました。

そして一度発達障害の診断を受けてみることにしました。
その時紹介されたのは、知的障害や発達障害を扱う小児科でした。
次は中学3年生になるので、受験もあります。
薬を飲んで改善するのなら・・・と藁をもすがる思いでした。