Kもピカピカの一年生になりました。
いつも無邪気にニコニコして
冗談を言っては人を笑わせる子でした。

家には毎日誰か遊びに来ていました。

おっとりマイペースなKは学校でもそのままでした。
参観日に見に行くと、
いつも最前列の席に座っていて、
先生はKの机に手を置いていて、
時々机をトントンとたたいてKに合図を送っていました。

そうしないと・・・Kは手の中にあるペンが気になったり、
コンパスやサシが気になったりして
先生の言葉がほとんど聞けない状態だったからです。

その様子を見て、私はいつもガッカリしました。


学校から帰ってきたKのランドセルの中からは
よく真っ白なプリントが出てきました。

個人懇談で担任の先生とその話をすると、
「スイッチが入った時は出来るんですけどね・・・
 K君のスイッチがどこにあるのか、探してるんですけど見つけられなくて。
 やり始めてしまえば出来るんですけどね~~」
と言われました。

それは家に帰ってからも同じで、
宿題をしなさいと言っても
真っ白なプリントを前にしてKは全く動きませんでした。

ひとつひとつ「こうして、あーして」と言うと出来るのですが
嫌々するので一つの動作に大変時間がかかります。
プリント1枚を終えるのにべったりくっついて2時間はかかりました。
それも1問終わるごとに、ひっくり返ってしまうので、
何度キレたか分かりません。

「そんな事でどうするの?!」
と時には押し入れに入れたり、叩いたりしました。
長々説教したりもしました。

当時私は仕事に家事に、町内会、夫の両親、PTA・・・と、
こなさなければいけない用事がたっぷりあり、
2歳姉のことも見てやらなければいけなかったので、
Kにだけ毎日2時間超もべったりついてやることは出来ませんでした。

夫は非協力的で、何かというと「お前が悪い」しか言わないので
相談出来ませんでした。

Kに対して、ご褒美を用意したり、思いつくことは試したつもりですが、
効果的なものはありませんでした。

姉が通っていた塾にも一緒に連れていきました。
毎日課題のプリントをする塾でしたが、
全くやらないKは、2年くらいずっと
『22+1= 、23+1=、24+1=・・・』と書かれた
+1のプリントから進むことはありませんでした。

Kに対してどうしたら良いのか?
悩んだ私は「Kはちょっと他の子と違うんじゃないかと思うんだけど。」
とお姑さんに相談しました。
私は発達障害の可能性を疑っていたのです。

するとお姑さんは「Kを病気扱いするの??」と言いました。

私はただ、Kをどのように教育すれば良いのか
誰かに教えて欲しかっただけなのです。
病気扱いしたかったわけではありません。

Kが自己暗示にかかり、ますます悪くなるかもしれないという不安もあり、
専門機関への相談は断念しました。

今思えば、この時のKには療育が必要でした。
時間の感覚が乏しく、時系列での予測が立たず、
書くことが極端に苦手なK。
やらなければいけないことに対する抵抗感の強さは、
その後も解消されることなく・・・
大きな壁となって立ちはだかるのでした。