十数年前からの国内アクション・フィギュア・ブームではマックスファクトリーのfigmaによって、高さ約14センチメートル前後の美少女アクション・フィギュアが生まれました。販売戦略としては、手軽に買ってもらえる低価格帯と生産に関わる工業的な精細さの最小限度を追求したのだと思います。スケールフィギュアとしては概算で1:12から1:10の範囲と言えるでしょう。
生産を委託している国の人件費値上がりによって、低価格帯という目標は失われて久しくなりました。すると開発されたのが美少女プラモデル――コトブキヤのフレームアームズ・ガール――というものです。興味深いことにこちらも15センチメートル前後という身長になりました。スケールとしては約1:10と言えるでしょう。工業的な精細さでは問題なく射出成形できるサイズで、小さいゆえに材料費もさほどかからないことが利点だと思います。ただし、箱はプラモデルのランナーによって相応の大きさにはなりますが。
ちなみに同社PVCフィギュアの主流は1:7というスケール感で22センチメートル前後になります。材料のPVCの単価はスチロール樹脂よりも高価です。美少女フィギュアも同様に人件費高騰で高止まりの製品価格に落ち着いています。
美少女プラモデルの15センチメートル前後というサイズの原点を考慮すると、1:144というガンプラのサイズがあることに気がつきます。ところが、美少女プラモデルは対象が人体ということで、ロボットのように太い四肢を有するわけではなく、ひたすらに微小で細いという印象の製品になりました。
不思議に思うのは、この小さい人形の組み立てに抵抗を覚えた人は居なかったのだろうか?ということです。太い指を持つ成人男性なら、あるいは老眼を発症した中年以降の男性であれば、この細かいパーツを組み立てる行為はかなり難度の高いものとなったはずです。さらに言えば、生産工場を持たないファブレスによる意向のおかげで、国内流通には海外からの輸送費が上乗せされ、そこに円安も加わって、かつてのプラモデルとは思えない高価格帯相場での販売になっています。つまり、高価にもかかわらず、組み上げたものは小さい――この奇妙で皮肉な結果に、消費者は果たして満足できているのか、疑問が浮かぶのです。
私のような消費者、プラモデルを組み立てるモデラーの端くれの立場から申し上げると、15センチメートルの人形は小さすぎます。このサイズでは満足に改造も出来ません。アクションフィギュアとしての可動部分との干渉も相まって、既にあるパーツに改変を加えることは相当に難しい。しかも、その精細さが人間が手を加えられることの可能な繊細さを超えています。大衆向けのプラモデルとは何だったのかを再考すべきではないかとすら思えるほど。
おそらくそうした無理・思惑もあって、こうしたプラモデルはガンプラも含めて、スナップフィットという形態に留まるようになってしまいました。すなわちパチ組・素組みで完成できるという代物です。こうなると残念なのは、プラモデルが育んでいたはずの創意から次第に離れていってしまうことです。
規定された組み立て説明書の通りに組み立てておしまい。これは悲しいことです。改造して自分なりの、世界に一つしか無い某かを作り上げることの楽しさを知っている人なら、私の懸念も理解して頂けると思います。誰かに改造を押しつける意図で言うのではないのですが、改造のしにくくなってしまったフォーマットはつまらないと思います。その制限を生むものは、第一にサイズ。多少の大きささえあれば、人の手による加工ははるかにやりやすくなるものです。
近年では、美プラの最先端を展開するコトブキヤによって、グランデスケールと称した1:6スケール(25センチメートル)相当の企画が展開されはじめました。G.I.Joeに倣うサイズでドールとも親和性の高い大きさと言えます。ドールと言えばボークスのドルフィーは外すことが出来ない製品でしょう。競合他社による熾烈な販売合戦のさなか、新趣向のサイズが市場で認められるか、今後の動向に期待ではあります。グランデスケールは改造しやすさの意味からも本来の模型愛好家から歓迎すべき動きだと思うのです。
グッドスマイルカンパニーは過去のフィギュアをプラモデルに置き換えた製品を準備中です。これはガレージキットのプラモデル化のような意味合いでもあるわけで、モデラーや愛好家には歓迎されるだろうと予想しています。大きなサイズのプラモデルで存分に改造を楽しめること。これが模型の含んでいた創意工夫だと思います。






