「(物理学の諸法則は)ものごとは放っておけば自然に無秩序な状態へ変わってゆく傾向がある、ということと深い関係があります。しかし、遺伝物質が高度の 持久性をもっているということと、その大きさがはなはだ小さいこととを調和させるために、事実上「分子を発明する」ことによって、無秩序へ向かう傾向を避 けなければなりませんでした。その分子は異常に大きな分子で、高度に分化した秩序をもち、量子論の魔法の杖によりしっかりと護られている一つの芸術作品と いうべきものでなければなりません。」

― 「生命とは何か―物理的にみた生細胞―(1944)」(エルヴィン・シュレーディンガー著、岡小天、鎮目恭夫訳)より
WHAT IS LIFE?-The Physical Aspect of the Living Cell (1944), Erwin Schroedinger