èVino-ゴリツィア支店

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出会った造り手たちの話やイベントなどなど、、、。

恵まれたヴィンテージに最高のブドウを収穫する。しかし、オレの中では「最高のワイン」じゃない。単純に“良いワイン“止まりだろうね。最高のブドウには「これまで以上の挑戦」をして、はじめて「最高のワイン」になり得る、、、。    だって、その方が面白いだろ?
ジャン=マルコ アントヌーツィ Gian Marco Antonuzi    (Le Coste di Clémentine Bouveron)
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皆さんこんばんわ~!

 

かなり久しぶりの更新となります、、汗。皆さんいかがお過ごしでしょうか?

これまで欠かさず、お付き合いしている造り手についてご紹介してきたのですが、すっかり遅くなってしまいました、、。

昨年から付き合いを始めたAnze アンジェ!エヴィーノとしては初めてのイタリア外の造り手、、(といってもほぼ国境ですが、、)。造り手としては全くの無名でありながら初回、そして昨年末のリリースと、皆さんより多くのリクエストをいただきまして、本当に感謝しております!!

 

ただ2023、2024とワイナリーに訪問しておきながら、、、アンジェの紹介を全くできておらず、、、汗。

本当に今更ではありますが、2度の訪問よりまとめましてご紹介させていただきます!

 

初訪問したのは2023年の春、ダミアンから「スロヴェニアだけど、若くて魅力のあるヤツがいるんだけど、会ってみないか?」との話をもらい、ダミアンの訪問翌日に向かいました。

 

畑の奥に見えるのが、ビリャーナの町。人口は200人に満たない小ささです。

 

ゴリツィアから国境を越えてスロヴェニア!、、といっても同じEU内なので、現在はゲートや検問などはありません。こうなると国を越えている感覚はあまりないですよね、、。

アンジェの畑の土壌、、、ポンカに埋め尽くされています。どう見てもコッリオと変わらない土壌。

 

ダミアンのカンティーナから、車で20分くらいと近いのですが、スロヴェニア南部ビリャーナの町。早速出向かええてくれたアンジェ イヴァンチッチ。ワイナリーがそのまま彼の本名という事からも分かる通り、家族から受け継いだ訳ではなく、彼自身がゼロから立ち上げたワイナリーになります。

 

ちなみに彼の父は大型の重機のオペレーター、母は看護職、両親ともワイン造りとは縁のない家族でした。「ワイン造りは近所の農家で手伝いながら覚えたんだ。興味を持ったのも畑で手伝っている時からなんだ。」そう話すアンジェ。現在33歳という年齢に驚かされます、、、。

 

彼のワインへの目覚めは、家も近く年齢も近かった仲の良い友達に、あのグラヴネルの息子さんであるミーハがいた事だといいます。幼い頃から一緒に山で遊んだり、川遊びしていたと言うアンジェ。

 

私自身、ミーハに会う事は出来なかったのですが、ダミアンや周囲の造り手の多くが彼の人柄と誠実さ、素晴らしい造り手になると誰一人疑わなかった話はよく聞かされました、、。「当時は自分もバイクが好きで、よく一緒に走っていたんだ。でもあの事故は当時の自分にもとてもショックだった。すぐにバイクを手放し彼のためにも一生乗らないと誓ったんだ。」

 

本当にショックな出来事でしたし、悔やんでも悔やみきれない事実。ミーハとの出会いがあったからこそ、アンジェの今がある、それは紛れもない事実なのだと思います。

 

そうした縁もあり、子供の頃からブドウ栽培やワイン造りに興味を持っていたアンジェ。18歳になると、通っていた高校の農業研修制度でグラヴネルのワイナリー募集を見て応募、そこから30歳を迎えるまでヨスコ グラヴネルの元で12年働きました。

 

「自分にとって、ワイン造りの始めから全て、ヨスコの元で学んできた。それは単なる技術的なものだけではなく、畑、自然との向き合い方。そしてモノ作りにおいての根幹と言うべきモノまで。」

ヨスコの元で働きながら、自宅近くにあった高樹齢のブドウ畑を借り、合間を使って栽培、収穫、ごくわずかながらダミジャーナでの醸造を繰り返してきたという彼。正式にワイナリーとして登記をしたのは2019ヴィンテージからとなります。

 

高樹齢のリボッラジャッラ、昔の仕立てのまま地表から100㎝ほど離れた仕立て。

 

発する言葉の所々から、昔どこかで聞いた話だなぁと思っていましたが、「ワイン作りは全て、畑で行われている。」、「醸造はあくまでも素材であるブドウを保つだけ、素材以上にレベルを高めることはできない。」、、、。どの言葉も、昔ヨスコから聞いた言葉ばかり、、。ヨスコのもとで働き、学んだことをまっすぐに進んできました。この若さでありながら、ある意味すでにワイン造りにおける揺るぎないフィロソフィを叩き込まれているアンジェ。

 

近所の友人と一緒に育てた豚から、自分で作ったパンチェッタ。料理好きのアンジェ、ワイン造りにとどまらず、野菜や肉、オリーヴオイル、自分たち家族が食べるものすべてにこだわりを持っています、、。まさに師匠の言葉通り!

 

ブドウ畑は自宅の近所にある2haのブドウ畑。畑の持ち主とは、彼が10代の頃からの付き合いで、昔から学校から帰ってくると、畑仕事や収穫を手伝ってきたという仲(笑)。「単に知らない畑を借りたわけではなくて、もう20年近く見てきたし、働いてきた畑。ビリァーナの街に残る最も樹齢の古いリボッラが残っている貴重な畑なんだ。」

仕立ては古いこの地域特有のもので、グイヨーアルト、カポヴォルトといった、背が高く間隔が開いていることで、地表の熱の影響を受けづらい仕立て。グラヴネルやダミアンのような低く高密植のアルベレッロ仕立てではありません。しかしアンジェ「もちろん仕立てによるブドウのクオリティの差はある。でもその分、除葉や収量制限をキッチリ行えば、必ずしも高品質なブドウを収穫できない、とは限らないんだ。もちろん、そのための作業量はアルベレッロよりも多くなるけどね!自分は働くの好きだから、、。」

 

2023年4月、芽かきの仕方を見せてくれた彼。出始めた芽を一瞬で選別して落としていきます。どの芽を残し、どの芽を落とすか樹を見た瞬間にイメージできる、、とのことです。とにかく早い、、汗。

 

そうはにかむアンジェ、仕立てが高い事でより多方向に出る芽や葉を落とす作業は、低い仕立ての倍以上、、。ただ、この畑ですでに20年近く仕事をしてきた彼、どの樹の勢いが強く、どこに湿気が溜まりやすいか?どの枝をどう落とすか?など、考えるよりも早く体が動く。まさにその言葉通りに、1本の樹の手入れの速さは驚愕に値します。(もし気になる方は彼のインスタに動画が上がっているので見てみてくださいw)

 

ワイナリーとしてのスタートはまだ数年ですが、それ以上に彼の体にしみ込んでいるビリャーナの土地、ブドウ畑。そしてブドウ栽培から醸造まで一貫した揺るぎのない哲学、、、。初訪問の時、まだワインを飲む以前から、期待が溢れかえってたのをよく覚えていますw

 

 

カンティーナは車で10分ほどの場所に借りた、小さなカンティーナ。建物も古いし天井も低いですが、部屋の隅々まで掃除が行き届いており、とても清潔感があります。パッと見でも10坪と少し、、くらいの広さしかありません。

「でも自分の生産量だとこの広さでちょうどいいかな、、。」そう恥ずかしがるアンジェ、畑は2haありますがボトル詰めできるワインは毎年2000~3000本程度、、、(驚)。その少なさに改めて驚かされてしまいます。

 

2024年の収穫、訪問したのが11月中旬ですが、まだ醗酵が終わっていないリボッラ ジャッラ。アンジェ自身初めて大樽で醗酵を行いました!いったいどのような味わいになるのか、非常に楽しみです!!

 

1本の樹に残すブドウは4~6房、そのすべての房を夏にカットし、1つ200~300g程度のサイズにすることでよりブドウが凝縮。「毎年これをやると、周りの農家から頭おかしいって笑われるんだ、、。だって樹に残っているブドウよりも、圧倒的に落とすブドウの方が多いからね、、(笑)。」ブドウが成熟を始める前に、約70%ほどのブドウを落とすというアンジェ。そこからさらにブドウの完熟の限界を追求するため、モストとして収穫できる分は本当に少なくなるといいます。

「うちのブドウの果汁はハチミツみたいなんだぜ!」そう言っていた意味がようやく理解できました、、。ブドウが凝縮しすぎるため、糖分が異常に高く、モストに粘性が出るほどという彼のブドウ。

 

当然ながら、出来上がるワインに至ってはアルコール度数はもちろん高く、、。14%を越えるのは当たり前で、ヴィンテージによっては16%越え、、さらにはそれでも醗酵が終わり切らないほどの糖度を持ったブドウが収穫できるといいます。

 

そして初めての樽からの試飲、、、。まるで果実の爆発のような広がり、華やかさ。そしてヴォリューム感は底が見えずそのまま終わりのない余韻に、衝撃を受けました、、。付き合いを始めることに、全くもって迷いはなかったです、、汗。

 

始めに感じたイメージとしては、まさにヨスコを彷彿とさせるアロマとヴォリューム。しかしもっと果実的でストレート、言い換えるのであれば若さとエネルギッシュさに溢れています。ダミアンに感じるような力強さや複雑さ、それでいてワインの完成度としてはまだまだ時間をかけて欲しいような、、、。とにかく膨大な情報が詰まっている印象。

これほどのワインを、、こんな小さく設備もないカンティーナで、古いバリックやトノーだけで造ることができる、、、。正直自分で疑うほどでした。

 

アンジェ曰く、「べつに大樽があったって、ワインはそんなに変わらないと思うよ。その前の収穫が一番大事で、そのクオリティのブドウを毎年収穫することが、自分の仕事のほとんどなんだよ。」、、まさにその言葉通り、それこそが彼が恩師の元で学んできたすべて。手法や技術ではなく、素材と哲学なんですよね。

 

なんてことを言いながら、昨年訪問した際になんと!見覚えのある大樽が2つ!

 

アンジェ曰く、「近所の可愛がってくれる某造り手」からの優しいアドバイス(言い換えるとダ〇アンのお説教の効いたアドバイスw)で、買う事になったとのことww
奥がオークで手前はアカシアと2種類の木材にしたアンジェ。理由は「オークが一般的だけど、この地域的にはアカシアの方がポピュラーだから」とのこと。メーカーはもちろんダミアン一押しのガルベロット社製です。

 

食事は妻のグレタさんと、アンジェ自身が仕込んでくれた料理を、、、。1晩かけて取ったブロードは、優しくて最高に美味しく、自家製のコテキーノ、サラミ、もちろんパスタまで、、、(満腹)

 

まだあどけなさが残る笑顔からは、想像しきれないほど磨き上げられたアンジェのブドウ栽培&ワイン造りのフィロソフィ。毎年のリリースが本当に楽しみでありながら、いったいどこまで行ってしまうのか、、、汗。驚愕の造り手です。

 

新たに加わったアンジェ、どうぞ皆さまよろしくお願いいたします!