グリーン・マイル 新潮文庫 約950ページ 評価:★★★★☆ 4点
グリーン・マイル〈1〉ふたりの少女の死 (新潮文庫)/スティーヴン キング

この本は少し変わった形態で発売されており、全6巻が当時月一冊と言うペースで発売され、話題を読んだ作品です。一冊が約150ページほどで、最後の巻のみ約200ページになっています。アメリカでは小説の連載というのがあまり無いらしく、非常に珍しい試みだったようです。
続きが気になる終わり方だったり、あえて前巻の続きではなく、違う話を展開させて読者をやきもきさせるなど、分冊ならではの面白さが味わえる非常に稀有な作品でした。
珍しく各巻の最初と最後に挿絵があり、読者が世界をイメージする助けになっています。
各巻に解説があるのですが、その中の一人が冒頭にキング作品は全く読みませんと豪語しており、そんな人に何故解説をさせるのかとちょっと不愉快に感じました。
この作品、アメリカで発売された際に書籍の売上チャートになんと6冊全てが同時にランクインし、同じ作家がチャートを6つも占めるのは快挙だったそうです。
何気ないふとした事が伏線になっていたり、過去と現在が織り成す人間模様。
静かで、それでいて心の中が暖かくなる様な、スタンド・バイ・ミーや刑務所のリタ・ヘイワースに通じる雰囲気を持つ作品でした。
本当にちょっとしたことなのですが、ああ、だからなのかと思わせるところがあり、伏線がきちんと回収されていくのは読んでいて気持ちが良かったです。
コーフィーが来る前、コーフィーが来た後、そして現在と様々な時間軸がありますが、どの時間軸でも人間の心の機微が描かれています。
登場人物はあまり多くは有りませんが、それぞれのキャラクターがきちんと個性を持っており、大半のキャラクターに愛着が持てるような魅力あるキャラクターが揃っていました。
ただし、この作品の悪とでも呼べるパーシー・ウェットモアは凄まじいほどの下衆でした(笑
全部で1000ページ近いのですが、非常に読みやすい作品でした。
時に冗長だったり、日常が淡々と描かれたりする事のあるキング作品ですが、このグリーン・マイルではそういったものが無く、シンプルに書かれており余分な要素をそぎ落として書かれたという感じがします。
結構な数のキング作品を読んできましたが、この作品が一番読みやすかったです。
一冊が他の小説に比べると見たことが無いほど薄く、読み応えが無いと思うかもしれませんが、分冊ならではの楽しさがあり、これはこれで一つの作品として大変面白かったです。
この作品は、トム・ハンクス主演で映画化されています。
次は、神々のワード・プロセッサを読んでみます。