無料で見れます〜な誘い文句に何気なく見てみたら、新手のフランダースの犬か?フランダースの犬なのか!?

この映画を一言で表わすなら
『生まれる前から不幸だった主人公の切ない生涯』

いやほんと、フランダースの犬後半を敷き詰めた様な追い討ち具合が酷い😑
世界観とか、かくつく動きとか、上手いのか下手なのかよく分からない歌パートとか割と好きなんですが、見終わった後、心がしばらく棒立ち状態でしたね〜😅

2013年
フランス制作
CGアニメーション作品
制作はリュック・ベッソンさんの奥様、ヴィルジニー・ベッソン=シラさんだそうです。

舞台はエジンバラ。
酷く寒い夜に1人の妊婦の姿。
「あなたをこのまま閉じ込めておきたい」とお腹の赤ちゃんに語りかけ、凍りついた雪の道を進み、丘の上に居を構える魔女と呼ばれている助産師を訪ねます。
この時点で、この出産が望まれていないことを察してちょっと切ない。
無事に魔女と呼ばれる助産師マドレーヌの元で生まれた赤ん坊こそ、主人公ジャックです。
ですが、あまりに寒い日だったせいでジャックの心臓は凍りつき、止まってしまっていました。
マドレーヌはジャックの心臓の代わりに、小さな鳩時計を胸に埋め込み、彼の命をつなぎ止めます。
子供を持てず、子供を欲しているマドレーヌの様子を察したジャックの母親は「彼女の方が私よりいい母親になれる」と、吹雪の中、屋敷を後にしました。

鳩時計の心臓を持つジャックには、3つのタブーがありました。

1.時計の針に触れてはならない
2.怒りを抑えること
3.決して恋をしてはいけない

ネジを巻き、これらを守らなければ鳩時計の心臓は保たないと小さい頃から言われ続けたジャックはマドレーヌによって屋敷の中で大切に大切に育てられていました。
初めて街へと出かけ、はしゃぎまくるジャックを心配するマドレーヌの姿は本当の母親かそれ以上の愛情をジャックに注いできたんだなと分かります。
マドレーヌが少し目を離した隙に、ジャックは街の広場で音楽を奏でながら歌う少女に出会います。
彼女の名前はアカシア。
目が悪く、つまづく彼女の愛らしさとその歌声にジャックは恋に落ちてしまいます。
彼女も満更でもない様で、2人は歌いながら想いを伝え合い、口付けしようとした時、ジャックの鳩時計の心臓が煙を上げてジャックは倒れてしまいます。
そこに駆けつけるマドレーヌ。
急いでジャックを連れ帰り「たった1度のキスでもあなたの心臓は耐えられない」と警告します。
それでも彼女を忘れられないジャックは、彼女に会うために学校に通う決心をします。
ですが、そこには学校を取り仕切り、アカシアに恋するいじめっ子のジョーが。
毎日、酷い目に合いながらジャックはアカシアに近寄る事さえ出来ずに14歳を迎えます。
気がつけば学校にアカシアの姿はなく、アカシアからの誕生日カードが届きます。
カードを巡って同じ誕生日のいじめっ子ジョーと対決するジャック。
その時、飛び出した鳩がジョーの目を潰してしまいます。
慌てて逃げ出すジャック。
家に戻ると、警察がジャックの家に向かってきているとの知らせにマドレーヌはジャックを逃がします。

故郷を後にし、アカシアを求めて絵葉書にあった地を目指すジャック。
列車の中でなぜか殺人鬼に襲われます。
なんとか逃げ延びたジャックは、撮影技師のメリエスに出会い、2人でアンダルシアに辿り着きます。
首が2つある人間や蝶の羽が生えた人等、個性豊かな人々が暮らすその地にアカシアの姿が!
紆余曲折あったものの両想いになった2人の前に、かつてのいじめっ子ジョーが再び姿を現す。

命を賭けたジャックの愛の行方は、果たして。


2回見るとメリエスさんのセリフが伏線になってるんだなって分かるんですが、初回で気づくわけなかろう!なのですよ、はい。
私の中でこの作品の名台詞は
「人と違う事は弱点ではない、強みなんだ」
です。
自分が鳩時計の心臓である事に負い目を感じているジャックに、それこそが君の魅力だと諭すメリエスさん、ほんといい人✨

キャラ設定と世界観が凄くいいな〜と。
鳩時計を心臓にしてる時点でまぁアレなんですが、背中が鉄琴になってるおじいちゃんとか『人』という枠を平気で超えてる人達がいるんですが、普通の外見の人達も沢山いるんですよ。
これって分かりやすく具現化された云わば『個性』なんじゃないかな?と。
障害を含めて、人と違う事を分かりやすくした上で、かなり上手くカモフラージュしてる感じがするんだよな〜。
だからこそ、この世界にもやっぱり差別があって、マドレーヌは魔女と呼ばれ(個性の強い人達を助けたりするから)アンダルシアには個性的な人達が集まり、身を寄せあって芸術の街を作り、視力が弱かったアカシアも、他人に陥れられた両親に逃がされてそこへ身を寄せてて…。

でもさー、誰かと同じって量産型のロボットじゃないんだから基本的に無理じゃない??
いや、量産型のペッパー君でさえ個性を持ってたりするから、全部他と一緒とかAIのないただの機械でしょそんなの
んなもんに誰がなりたいっつーのよ、ねぇ?
『違う』事で差別されても……そうなんだからしょうがねぇじゃんって感じがします。
ジャックの心臓が鳩時計なのも生きてく為にそうするしかなかったんだから。

って、思ったらこの作品のテーマってもしかして『個性的な人間の生き辛さ』なのかな〜と。
そして、そう思うとやっぱりマドレーヌとメリエスさんはほんとに良い人だなぁと改めて感じてしまいますね😢
といっても、いじめっ子ジョーも、別にジャックが人と違うから虐めてた訳じゃなくて、彼の場合はアカシアちゃんを独占したいマンだっただけなんでしょうけどね。

生まれる前からつまづきまくって、色んな人に愛され、憎まれ、そして一生に1度だけのキス(愛)に全てを賭けたジャック。
その生涯の切なさを感じたい方は是非。

とりあえず私は、全力でマドレーヌさんを抱きしめたい!
嫌だよー!マドレーヌさぁぁぁんんんん!!!


とりあえず『私は幸せになろう』『明日も頑張って生きよう』って思えたので、それなりに名作……なのかもしれません(個人的な感想であり、保証の限りではありません)