2555年 8月 7日 初のデッド・スポット調査。
それは、多くの犠牲を払う結果となってしまった。
人類はあまりにデッド・スポットについての知識がなさすぎた。
それだけではない、デッド・スポットを甘く見すぎていたのだ―――
≪緊急事態!緊急事態!≫
≪緊急事態!緊急事態!≫
≪緊急事態!緊急事態!≫
・
・
・
それを聞いた部隊長たちはその場に凍りついた。
≪第十部隊がアンノウンに襲われた模様!≫
≪第九部隊がアンノウンに襲われた模様!≫
≪第一部隊が・・・≫
≪第六部隊が…≫
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・
・
本部にいた人間、その情報を聞いた隊長たちから、今まで少なからず感じていた余裕が消えた。
――なんでだ・・・。なんで急に・・・。・・・まさか、な――
本部で様子を見ていた断は、素朴な疑問を浮かべてある仮説にたどり着いた――
そんなとき、調査部隊はアンノウンと必死の攻防劇を繰り広げていた。
襲ってきたアンノウンは、こちら側からの攻撃をなかなか通さない頑丈な皮をまとっていて、形もそれぞれだったが、それぞれまだ進化まえの原型を完全には崩し切っていないといった感じであった。
象のようなものもいれば、チーター、ライオン、なかには、伝記に登場する、竜のような姿のアンノウンもいた。
それぞれ、デッド・スポットという極限の環境に適応し、さらに、弱肉強食の世界で強者になろうと、攻撃的、凶暴な姿になっていた。
ただ、調査部隊を襲ったアンノウンの中にただ一匹、否、一人というべきだろう。
人間の形をしたものがいたのだ。
それは、当然だが新人類とは違っていた。
まず、外見。
皮膚は毒々しい、紫がかった色をしており、目は赤く、服こそ着ているのだが、新人類のような洒落たものではなく、動物の毛皮や皮等をつなぎ合わせた感じだ。
次に、能力だ。
仮に、異人類(いじんるい)とでも称しておこう。
その異人類は、新人類よりも強力なテレキネシスを使い、肉体も強靭で、体術も新人類より数段上で、武器やその他の能力を持っていないと、訓練を積んだ屈強な部隊員でも、苦戦するほどだった。
不毛の大地で、異人類と新人類は初めて対峙した。
「・・・お前は~・・・あれか、ここに住んでいるのか?」
人の形をしているとあって少し油断の色を見せ、そう問いかける、第一部隊隊長のシヴァ。
「・・・」
全くの無反応だった。
そして、これが返事だと言うかのように、強力なテレキネシスを発動させ、隊員を宙へ浮かべ、弄び観察するかのように宙を右へ左へと動かしていた。
パキッ
自分の話を無視された上に、仲間に危害を加えたことで、頭に血が上ったシヴァは、怒りをむき出しにする。
バキッ
バキバキバキバキッ!!!!!
シヴァを中心にその周りの地面が砕け始めている。
その音はデッド・スポットの赤黒い大地が悲鳴を上げているようにも聞こえた。
メキャメキャッ
シヴァの能力は、ブレイク(破壊)。
すべてを破壊する能力だ。
その気になれば地球をも破壊可能である。
ただ、彼自身そこまで力を引き出し切れていないのが現状だ。
いまは、頭に血が上り力が勝手に漏れ出している状況だった。
「お、おい!全員、隊長から離れなさい!」
副隊長のアルトが叫ぶ。
シヴァのブレイクは見境なくすべてを壊す能力だ。
仲間だから壊さないようにするなど、今のシヴァには不可能な状況だった。
アルトの声を聞き、テレキネシスにかかっている隊員以外全員30m以上離れた。
アルトは、シヴァの事をよく理解している。
いや、どちらかといえば、シヴァの能力の事をよく理解していた。
次にアルトが考えたことは、テレキネシスにかかっている隊員を助けることだ。
バキメキャッ!!
アルトがそんなことを考えている間も、シヴァの能力は進行している。
――はぁ・・・しかたないか。後でシヴァに怒られるから嫌なんだけど・・・――
そう、心の中でつぶやき、アルトはシヴァに向け手をかざす。
バキバキバキッ
バキ・・・
その瞬間、シヴァの能力の進行が止まる。
「う・・・く・・・ア・・ルトォ・・・!!」
シヴァは苦しそうに、アルトを睨む。
「ごめん、ごめん!こうするしかないじゃない!あなたが暴走したら使えって言われたでしょ!」
アルトの能力は、アニマルオペレイト(動物操作)。
自分が意識した動物を催眠状態に陥らせ、自分の思うがままに動かすことができる能力だ。
能力が暴走したシヴァを能力にかけることで、シヴァの能力を制御したのだ。
しかし、人間、とくにシヴァのように我が強い、よくいえば、自分をちゃんと持っている人間には効果が薄く、少し動きを止めたり、能力を制御できる程度しか出来なかった。
そして、アルトとシヴァの能力に興味を示したのか、隊員を解除し、次は、シヴァに近づく。
「く・・・くあぁぁぁぁ!!!」
バチッバチッ!!
電気が放電するような音が鳴って、アルトの能力をシヴァが強制的に解除した。
「あぁ!それしちゃダメだって何回言ったらわかるのよ!!!それは、精神に異常をきたす可能性も・・・
「あーはいはい。」
アルトがしゃべりきるのも待たず、シヴァはめんどくさそうに返事をする。
「今はそれどころじゃねぇだろ!!こいつをぶっ壊す!!!」
そういって、シヴァがすぐ近くまで来ていた、異人類の肩に右手をかけ、能力を発動させた。
シィー…ン
――!?――
その場にいた人間は、皆勝ちを確信したが、シヴァの能力を受けても何の反応も示さない異人類に驚いた。
シヴァの能力が発動しなかったわけではない。
発動していて、異人類の身体は、ヒシヒシと悲鳴を上げていた。
しかし、普通の人間ならこの時点ではじけ飛んでいても不思議ではない。
能力の出力が足りないのかと思い、シヴァはさらに強く能力をぶつけようとした瞬間。
異人類は、新人類の目にもとまらぬ速さで、シヴァの腕を折り、周りにいた隊員とアルトの後頭部をつかみ一人ひとり、顔面を地面にめり込ませていった。
「ぐあぁぁぁぁ!!」
「ギャーッ!」
「オブッ」
メキャッ
ベキッ
ゴキャッ
隊員の断末魔の叫びと、地面に顔面がめり込んだときに頭蓋骨が砕ける嫌な音も鳴り響く。
そして、何事もなかったかのように異人類はその場を立ち去る。
「待てやゴラァァァァァ!!!!!」
ドゴォンッ
シヴァの怒声とともに、異人類がいたであろう場所はそこを中心に、10mくらい跡形もなく消し飛んだ。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「シツコイ デキソコナイガ」
シヴァの耳元で、片言の言葉が聞こえた。
その瞬間、シヴァの視界は地中を見ていた。
そして、異人類はどこへをもなく消えていった。
シヴァは何が起きたか理解できなかったが、自分が、地面にぶつかった瞬間に、目の前の地面を砕き、ダメージを軽減していた。
シヴァは無意識にアルトにも同じことをし助けたが、他の隊員は亡き者になってしまった。
バラバラッ
シヴァが顔をあげると、地面の破片が落ちる。
「シヴァ・・・?大丈夫?」
「あ、あぁ・・・」
二人とも急な出来事で事態の処理ができていなかったのもあるが、相手の攻撃に反応して避けることができなかった、それほどまでに強大な力を体感して、呆気にとられていた。
それほどまでに、新人類と異人類の力の差は大きかったのだ。
即死したほかの隊員がそれを物語っている。
普通なら新人類がそれくらいで死ぬことはないだろう。
しかし、新人類のしかも、訓練を積んだ隊員が即死した。
力は速さに比例する。
それほどまでに、異人類が隊員を叩きつける速度がはやかったのだ。
それを、隊員たちの死が物語っていた――
それから、他のところにもその異人類が現れ、隊員を殺して行った。
異人類が現れるとなぜか、アンノウンは立ち去って行った。
隊員が殺されていく中で、煉はただ走った。
近づいてくる死神から逃れようと、ただただ本部に向かい、赤い大気をかき分け、赤黒い大地をひた走った。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
――し、死ぬ・・・!殺される!!!――
普通は逃げて当然だ。
当然なのに、逃げなかった他の隊員、隊長たち。
隊長たちは責任感などから隊員を守ろうと思い逃げるのを拒んだから、攻撃を受けた。
しかし、他の隊員は反応ができなかったから逃げることすらできなかったのだ。
煉はもっとも利口で、もっとも人間らしい人間だった。
それだけのことだった――
▽▲▽▲▽作者コメント▲▽▲▽▲
やぁ、どうでしょうか。
蟷螂さんの指摘を意識しましたが、そこまで変わってない気が・・・
そして、読みにくい文章になっている気が・・・
ま、まぁ。
皆さんの感想でどうなのか聞かせてください!!!
でわ!!!