お山
の頂上の4本の木
………和尚が植えた時には、
まだ小さな苗木だった。
ツボに入るくらい
小さな苗木だった。

和尚の大好きな母親の木


和尚と似ている父親の木


和尚がお世話になった師匠の木


和尚が平和を願った木

写真で見た木は、立派な老木だ。
和尚は、このお山
の頂上からふるさとを見ていたと
言われている。
ふるさとの方向には、
ちょうど富士山
がある。日が昇る位置からちょうど、
東側の房州の方角に富士山
。彼は、それを知っていたのだと
思う。
ひとたびお山
を降りれば、命を狙われる。
ふるさとに帰っても、狙われる。
父も母も師匠もいない。
自分の身体にも、馴れない気候に
異常をきたしてる。
だからせめて、苗木でも、
和尚をはじめ、
後世の弟子たちの心に
語りかけてくれる木
を、植えたんだと思う。
木
の苗木を何度か植えた後、4本とも小さいながらも
少しずつ、育っていった。
しかし、ほどなくして
和尚は亡き人になった。
あれから………………
お山
の山頂では、亡き和尚の残された弟子たちの
4本の木
の苗木を育てる日々が始まった。
和尚はもう、この世にいない。
しかし、
生前の和尚はこう言った。
この木
は、後世に残さないといけない。
文献は、簡単に人の手によって、
書き換えられる。
いつか、この教えも
変わってしまう事だろう。
それが、歴史だ。
しかし、
この空や、海や、木々
や土のように、
自然だけは、ウソを付かない。
たくさんの書物や、
自分の苦しい経験が、
全てそれを教えてくれた。
後世に、生まれくる弟子や人物が
この木
を見て、私たちの真の思いを
受けとめてくれる。
後世の弟子の為に、
この木を育てて欲しい。
こう言い残した。
和尚亡きあとの弟子たちは、
交代で頂上の苗木の育成に
チカラを入れた。
しかし、お山
の気候は変わりやすい。
雨
も振れば、風も吹く。
台風の日もあれば、
雪の日もある。
苗木から、木
に変わり始めても、
弟子たちは、
これを見守る事に必死だった。
この木
だけは、枯らさせない!強い雨
の日は、雨水が、木
に浸透し過ぎない様に、
土を掘り返して、
雨水の逃げ場を作る。
強風の時は、
木
を支える、木の囲いで苗木を押さえる。
雪の日は、常に、
積雪よけをしていたと思う。
…………大変だったと思う。
だけど、弟子である彼らは言う。
雨の日も、
風の日も、
雪の日も、
台風の日も、
後世の弟子の為に、
絶対にこの木
を枯らさない!!と………………
やがて、4本の木は大人の
木
へと成長する。お山
の頂上で木を守ってきた弟子たちは、
一人、また一人と
チカラ尽きていった……
そんな過酷な状況の中、
木
の育成に残った最後の一人、最期まで見守った
お弟子さんがいた。
彼は、700年以上たった
このお山
の頂上で、今だに、この木
を見守っている彼は、木
を育てている事にとても誇りを持っていた。
このお弟子さんを初め、
この木々
を守ってきたお弟子さんたちは言った。
雨の日も
風の日も
台風の日も
雪の降る日も
泣きながら
笑いながら
汗を流しながら
時には、血を流しながら
和尚の教えと思いを
生まれくる弟子たちに伝える
と………………………
ひなた