小生、学生の折にある先生から言われた以下のようなことを今でも頻繁に思い出します。


諸君、歴史とは、既得権益の奪取の連続で在る。
皇帝から王へ、王から貴族へ、貴族から裕福な市民へ、裕福な市民から更なる平民へ、
歴史の進行とともに、情報格差の障壁がどんどん下がり、
結果として機会の平等がもたらされた結果、
既得権益は世襲制から能力のあるものへと細断され、拡散したのだ。

考えてもみたまえ、
アレキサンダー大王、ローマ帝国、チンギス・ハーン、
更に七つの海を支配した大英帝国、
平家物語に在るように、
”盛者必衰の理をあらわす”なのだよ。

この世に絶対は無い事だけが絶対なのかもしれない。
今まで存在しなかったことを持って、存在しないなどと言う
”悪魔の証明”に惑わされてはいけないぞ。


Lショック前までは、情報格差がなくなったことで、世界はフラット化し、
ひとつになったとまでいわれていました。
所謂単一標準と価値観により、金融市場の変動率も勿論の事、
世の中では標準偏差を超えたものは全て裁定取引の対象であるかのように
歌われていました。

しかし、Lショックにより、人々はそれぞれのリスク量の違いと言う
相対的な基準を認識し、その結果、見えない物への畏怖を抱いたのではないでしょうか?

これにより、金融市場という人の価値を表す市場の変動率は一気に上昇したのですが、
何とか、人間が構成する政府・中央銀行により沈静化したかにみえました。

しかしながら、Gショック、更にそこからドミノ波及したPIIGSショックは
現在、成長国の金融市場に襲いかかっています。

各国政府が資金調達をするために有価証券を発行し、
それを政治的判断ながらも買受ける連中が存在する中で、
それらを買い受けてしまうことに対するリスクとして
有価証券ではない通貨を売却することで、
リスク中立を保とうとする市場参加者が存在する結果、
成長国通貨は下落しています。
否、成長国の有価証券は、溶解しています。

PIIGS(Iが二つなのは伊のみならず愛も入ってくるからです、もう英も独も他人事では有りません)から更にこのドミノがEU参加国へと波及すると・・・
そういった国々の信用格付けが下落し、更にそれらの国に存在する(金融機関を含む)民間企業の各つけも相対的に下落します。
結果、投資対象には該当しないもしくは会計原則から
リスク資産を積み上げなくてはならなくなるので、それらに投資し、
(当該対象国通貨売りなどの)ダイナミックヘッジを行っていない場合、
さらなる資金調達へと追い込まれます。

さて、これらの成長国に危機から逃避している資本を受けているのが新興国です。

新興国は、未だに金融市場も大きくなく、流動性には確かに不安はありますが、
少なくとも人間が勝手に決めたG10などと言う訳の分からない
分類にはこだわらなければ、日々流動性すらも大きく成って居るのが実態です。

勿論彼らの経済成長以上に流動性が拡大してしまっている節もあるが故に
成長国の評論家からすれば<バブル>なのでしょうが、
成長国から新興国へ富が配分されているのかもしれないのであれば
速度の行き過ぎはあったとしても時代の流れであるのではないかと
小生は考えています。

今では、銀座で中国語を聞くのが当たり前になってきました。
メイフェアやナイツブリッジでアラビア語やロシア語を聞くよりも
割合としては多いです。