ーウリウリの3ー
「ココロがチクタクしてますよ」
いつものように友達のタマちゃんに誘われてご飯に行くことになりました。今回は、タマちゃんが見つけた新しいお店です。ちょと楽しみですねぇ。
新しいお店はキッチンバー「黒豚」と云いました。やっぱりいつものように、カウンターの一番奥にウリエが座って、隣がタマちゃんその隣が彼氏のカンちゃんでした。お料理は黒豚中心でソテーとか角煮とか美味しかったです。マスターさんも気さくな感じです。
そうこうしてるとお客さんが入って来ました。スーツを着たおじさんで、いつものようにカンちゃんとタマちゃんは直ぐにお喋りして仲良くなりましたよ。スーツのおじさんはこのお店の開店当日からのお客さんらしく、もうすっかり常連さんみたくマスターさんともお話しです。みんなお話しが盛り上がってきました。ウリエは横でフンフンとお話しを聞いてるだけで、だんだんつまんなくなってお酒が進みます。焼酎にチェンジです~。
と、今度はヘンテコなお客さんが入って来ました。キツネさんのお面を被っていて、白衣を着ていました。その女の人はビールを注文して飲みました。で、お代わりして飲みました。また、お代わりして飲みました。なんか凄い勢いでビールを飲む人です。
で、またまたお客さんが入って来ました。その人はキョロキョロしてなんか挙動不審です。そうこうしてるとあのキツネさんのテーブルに座ったんです。最初に二三言話したかと思うと、二人とも黙りこくってただただビールを飲んでいました。なんか不思議な感じです。
今度は、また白衣を着た女の人が入って来ました。三人さんになりました。何やら小声でお喋りがはじまりました。ウリエは眼が悪いので、じーっとそんな3人を眺めていました。そしたら、ふと思い出しましたよ~。2番目に入って来た人は日本酒バー三日月さんとこで見かけた、お月様が見えた付喪神(つくもかみ)の人でした。思わず「あ、こないだの付喪神のひとー」って言っちゃいましたー。みんなが一斉にウリエのコトを見て、そんで付喪神の人に注目しました。なんかスゴく恥ずかしい感じです。タマちゃんは、付喪神の人を覚えてないみたいで「知ってる人?」ってウリエに訊きました。「知らない人」って言うと、タマちゃん達はもとの話しに戻っていきました。ウリエは、ずっとテーブル席の三人さんを観察しながら焼酎をお代わりしました。
こう見えてもウリエは観察力がある方です。ぽーっと知らない人達を観察していると結構飽きません。あれ?これって観察力かなぁ…。特に付喪神の人は二人の女子さんと話をしながら、笑ったり、困った顔をしたり、こめかみに汗を浮かべたり、と忙しい人です。見ててなんとなく笑えてきちゃいました。
三人さんも帰ってウリエはまたまたヒマぷーになりました。焼酎が進みます。ドアが開くと今度はスーツだけどチョットオシャレな男子さんでした。カウンターの一番手前に座ってシャンディガフを注文しました。
しかし、このお店は、いろんな人が来るんですね。
その人は、シャンディガフを飲みながら何やらノートを広げ静かに飲んでいるだけで、ウリエはだんだんつまんなくなりました。観察力もここまでです。相変わらずタマちゃん達は楽しそうです。
ウリエがトイレから戻って来ると、シャンディの人が「こっち来ない」風に手招きです。ウリエも暇なので焼酎のグラスを持ってお隣に移動しました。お喋りしてみると優しくって、お話しもなかなか面白く素敵な人でした。ウリエもいつもよりチョットお喋りになっちゃいましたよ。
マスターが「えーくん、彼女口説いてんの」と冷やかしました。えーくんはニッコリ微笑むだけでまたウリエとお喋りです。よーく顔を覗いて見ると、イイ感じの男子ですねえ。
ウリエはけっこう沢山の焼酎を飲みました。シャンディの彼は先に帰っちゃったし、タマちゃん達も「そろそろ帰ろう」って言うので、今夜の飲みはお開きです。またまたウリエは一人でお家に帰ります。今夜はお月様は南の空に浮かんでいました。ウリエは知らないうちに「えーくん」のコトを考えていましたー。えーくんって、エー君?英くん?それともA君かなぁ…。なんだか急に胸がチクタクして来ました。なんなんでしょう?
ウリエは鼻唄を歌いながら夜道をスキップしながら帰りました。
何かがはしまる予感です~♪
ココロがチクタクしてますよ~。

ツクヨミ研究所の一夜 アナザーストーリー「ウリエちゃんのウリウリな気持ち」より
ーウリウリの3ー
黒豚とA君とチクタクな心