詳しいことは全然分からない

だけど、

とにかく受診させなきゃいけない状態

ということだけは分かる



昼休み中の動物病院へ。

呼び鈴を押すと玄関の扉を少し開けてくれた。

 

「猫を拾ったんです。目が見えていないようで

 様子もおかしいみたいなんです。

 診ていただけますか」

抱えている段ボールの中に子猫がいることを知り、

 

「その猫、治療したらどうしますか?

 飼いますか?」

 

「え?まだ分かりません。今見つけたばかりで」

 

「飼うという確証がなければ診られません

 

「・・・でもこのままでは死んでしまうと思います

 どうすればいいですか?」

 

「とにかくうちでは診られません

 元の所に戻したらいいのでは?」

 

「でも、死んでしまうと思います

 目が見えないみたいなんです」

 

「はい」

 

 

扉を閉めておしまい。

 

呆然とはこのことだな。

怒りの感情が湧いてきたのは少し後。

え?今何が起こったの?

見殺しにするの?

 

猫は

さっきまでずっと鳴いていたのに

少し安心したのかそれとも疲れたのか

静かに丸まっている。

 

すぐ別の病院に電話。

「子猫を拾ってしまって。状態が良くないようで

 診ていただくことはできますか?

 まだ飼えるか分からないんですけど」

「すぐ連れてきてください」

 

また耳を疑う

本当にいいの?

あの時の

道が開けたみたいな形容しがたい気持ち

忘れられない

本当に嬉しかった。

 

 

一通り検査をしてもらう

耳ダニが異常にいることや、のみが酷いことなど

寄生虫もいるだろうから

諸々の処置と薬を。

 

そして、目。

赤黒くボコボコになっている目。

 

赤ちゃんの時の瞬膜がそのままなのか、

ネコ風邪か、特定できる状態ではない。

炎症と白濁、瞬膜の下の眼球が生きているかも

分からない

 

ただこのままでは良くない。

とにかく炎症を抑えないといけない

 

ということで抗生剤などの点眼薬二つ。

 

 

そしてもう一つ分かったこと。

月齢にして2~3か月との判断だった猫は

歯の生え方から5~6か月だろうとのこと。

目が見えず、兄弟の中でうまく哺乳ができず

栄養が足りず、大きくなれなかったのではないか

とのこと。

 

 

そして今後のこと。

「さっき拾ったばかりで、

 飼えるか分からないんですけど…」

 

「病院で預かることはできませんが、

 飼い主を探す手伝いをします

 それまでは家でみれますか?

 もし飼い主が見つからなかったら

 その時考えましょう。」

 

多分ちょっと泣いたかも。。。

 

「生まれたばかりの子猫の場合は

 母猫が一匹ずつくわえて移動させるので

 探しに来ることがあるけど、この様子だと、

 無理だと思います。

 元のいたところに戻したら、

 多分生きられない」

 

 

目が見えなくて

お母さんと兄弟とはぐれたんだろうな。

お母さんに

運んでもらう月齢じゃなくなったんだろうな。

 

そして必死で泣いていたんだろうな。

たまたま休みで、たまたま家にいて

本当に良かった。

 

 

 

点眼を始めると、少しずつ炎症は収まっていったけど  

でも眼球は見えない。