ほんとのことなんて、
いらないのだ。
可愛いとか
いちばんだとか
あなたはいつも優しい口調で言ってくださる。
わたしはたちまち機嫌がよくなって、
この人の恋人でよかったと思う。
可愛いとかいちばんとかの言葉のうしろには、
思いやりがある。
だから嬉しくなる。
全部が全部ほんとのことじゃなくていい。
ほんとのことばかりは正しいけれど、
正しいことが良いことだなんて思わない。
本音も嘘も織り交ぜて、
優しい気持ちで愛していたいのだ。
もっと深くて白くて、
あたたかい言葉をかければよかった。
この一日のおわりに。
わたしはいつまでたっても、
未熟で愚かで嫌になる。
でもときどき、
このありあまるほどの幸運と幸福に
改めて気づいて愕然とする。
こんな日々を当たり前に過ごせるなんて。
今日も、いまも。
目の前に、
あなたが生きてくれているだけで、
他には何にもいらないのにね。