沸騰した海から、言葉があわてて泳ぎ出る | 恋は二度目のアネモネ


我儘言うわよ。
女だもん。
毒吐いて、三日月の棘でぐさり。
どっろどろの自意識にのみこんでやる。
だけど、
嵐が去って、
波がひいて、
わたしがいなくなってしまったら、
きっとあなたは死ぬだろう。
なんてね。
きっと死なない。
人は強い。
思い上がりも甚だしい。


こんなに夜が憎らしいのは久方ぶりだ。
空を切り裂いて、
夜をのみこむほどでかい満月のような穴をあけてやりたい。
わたしのバイオレンスな衝動が、
体内の空気をふつふつと蒸気に変えていく。
黒くて、
熱い血。
おまえなど、
体内から血を出すこともないくせに。
と、
きっと女は、どこかで男を馬鹿にしている。


体も口も閉じて、
今日からしばらく、隠者になります。
どろどろ。
うずまく心の海と膿を、
まぜてかためて、
またひとつややこしい人間になるのだ。
そしていつかすとんとシンプルになりたい。


あなたがわたしに。
わたしがあなたに。
愛などという崇高なものではない。
こんなもの、
ただの情と、馴れ合いだ。