本邦初バーン=ジョーンズ展
東京丸の内三菱一号館美術館は
煉瓦造りの明治の洋風建築で
緑あふれる中庭があり、お気に入りの美術館です。
ラファエル前派でも、バーン=ジョーンズのみの
展覧会とあっておおいに期待しました。
ラファエル前派は19世紀後半に
イギリスで起こった絵画の流派です。
ルネサンス時代のラファエロ以前に戻れを
スローガンにしており、
19世紀前半のロマン主義の流れを引き継ぎ、
後の象徴主義のさきがけといわれています。
そのため、アーサー王伝説やギリシャ神話、
キリスト教の聖人伝説が主題としています。
同時代のフランスではギュスターヴ・モローが
ラファエル前派に近い画家といえるでしょう。
当時、フランスで始まっていた印象派が
歴史や宗教的主題から離れて日常的な
題材をとりあげようとしていたのとは対照的です。
歴史や宗教的知識がなくても理解できる印象派は
私たち日本人にはなじみ深いものですが、
当時のフランスでも、日常的題材を描いた絵が
受け入れられるまで相当時間がかかったみたいです。
今回もイヤホンガイドを借りたのですが、
読んでいるだけの説明なのが残念。
ラファエル前派だからこそ、もっと物語的に
語りかけてほしかったです。
いつからなのかなあ、イヤホンガイドがすごく
楽しくてそれから、借りるようになったのだけれど。
バーン=ジョーンズははじめの頃の技術が未熟な
本の挿絵作品を自分の作品と公表しなかったと
いう話はおもしろかったです。
本当にどんどん固さがなくなって
羽ばたいていきます。
「ペルセウス」シリーズの甲冑など
天野喜孝に通じるところもあるから
若い人にももっとたくさん見にきて
ほしいです。
「慈悲深き戦士」は磔のキリストが、
十字架から身をのりだしています。
キリストは腰を折って、祈る戦士の肩に手を回しています。
これは戦士の幻影なのでしょうか。
お祈りをしている肩にキリストの手を感じたのです。
堂の周りは花が咲き乱れています。
バン=ジョーンズはそれを真横から描き、
キリストは優しい人になっているのです。
はじめ見たとき、手をさしのべているのが
キリストだとは思えませんでした。
ラファエル前派はキリストを宗教画のようには描きません。
崇拝というより、もっと身近な存在として描いています。
圧巻のいばら姫。
眠っている指が何度見ても素敵でした。
でも思っていたより、全体に暗い感じがしました。
花盛りなのに花が目に入ってきません。
眠たい色にしているのでしょうか。
私にとっては今回
いばら姫を主題にした「王宮の中庭」の
習作89cm×59cm6点が好きでした。
突如魔法にかかって眠りにはいってしまう
瞬間の機織り娘の指先。
ほんとうに眠る指が美しい。
この習作には当時流行していた
ジャポニスムに影響を受けた草の模様が描かれ、
これがバン=ジョーンズの眠りの文様なのでしょうか。
1枚の作品としても素敵でした。

