<あらすじ>

 

質屋を営む裕福な政次郎の長男に生まれた賢治は、

 

跡取りとして大事に育てられるが、

 

家業を「弱い者いじめ」だと断固として拒み、

 

農業や人造宝石に夢中になって、父・政次郎と母・イチを振り回す。

 

さらに、宗教に身を捧げると東京へ家出してしまう。 

 

そんな中、賢治の一番の理解者である妹のトシが、

 

当時は不治の病だった結核に倒れる。

 

賢治はトシを励ますために、一心不乱に物語を書き続け読み聞かせる。

 

だが、願いは叶わず、みぞれの降る日にトシは旅立ってしまう。

 

「トシがいなければ何も書けない」と慟哭する賢治に、

 

「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」と、再び筆を執らせたのは政次郎だった。

 

「物語は自分の子供だ」と打ち明ける賢治に、

 

「それなら、お父さんの孫だ。大好きで当たり前だ」と励ます政次郎。

 

 

だが、ようやく道を見つけた賢治にトシと同じ運命が降りかかる。