青色のザンネンナガラに包まれて握るタオルが湿気を帯びる
「もういいよ」家族ごっこはやめにしてメタモルフォーゼの内へと還れ
いつか来るいつかがこんな突然に降り注いでる 泣いてはだめだ
一週間前に母が腸閉塞を起こして入院しました。スキルス胃癌から始まり腹膜へ転移したがんの悪化が早く、内臓を圧迫、細くなっていた小腸から症状が出ました。
鼻から管を入れて、小腸の内容物を吸引。痛み止と抗生物質を点滴で入れて、昨日、ようやく改善が見られました。
オプジーボの効果はなく、がんの悪化を確認できたため、投与は終了します。
「残念ながら」
「いままでよくがんばりました」
医師からの言葉を体で吸い込んで、ため息をついて。
これでおしまい。
ここからは母がさんざん避けてきた「最後のための話し合い」をしていきます。強い痛み止で意識がもうろうとする前に、悲しみで頭がおかしくなる前に。
ベッドの上で土下座をし「申し訳なかった」と謝る母へ言葉はかけられませんでした。奪われた二年は戻らない。歩めたかもしれない未来は手に入らない。これまでの時間を蝕む「母親」という毒は私の中から消えることはない。
許せるはずなどないのだ。
今日、母は緩和ケア病棟へ移ります。私はいつも通りへらへら笑っています。