両手首が折れる、

小指側の手首の甲に鍵が常時刺さっているような痛みだ

耐えきれず泣く日も増えてきた


瓶の蓋を開けることもできない

洗濯機や炊飯器のボタンひと押しさえ超苦痛


近くの病院でエコーをしながら

ステロイドを打ってもらったのに

一向によくならない


日常生活も送れず自信を失う日々の中、

FTCC損傷という言葉を知る。

痛い場所等が似ていることから

ワラにもすがる思いでFTCC損傷を紹介している港区の病院へ


なんだ、この無駄に豪華な病院は

美術館のような絵画にピアノ

ピアノ、、いるか?


広い割には空いていて静かな雰囲気。

整形外科の待合場所には手首にギブスした人が何人か座っていた


そして名前を呼ばれいざ診察室へ行くと、、、


怒られた。


問診票の希望欄にFTCC損傷の検査をしてほしいと書いたのがそんなに気に食わなかったのだろうか。


・FTCCでそんなに痛がる人見たことない

・誰にFTCCと言われたの⁉️

・松葉杖でそんなふうになるなんて聞いたことない

・FTCCに命かけてる○○先生がいるけどその先生にする⁉️


次々ぶつけられる言葉。

近くの看護婦はあーまたやってる、みたいな目をしていた。

このじぃさん常習犯か。


その○○先生のことが嫌いなのかなんなのか知らないがイライラしまくるじぃさん。

私は痛みが酷く涙をこぼす。


それでも続く言葉は

・だってMRI早い方がいいんでしょ⁉️

・金曜結果聞きに来てもらうから今日は薬出さないよ


通院で週に3日も早退なんて、、

会社の人になんて言おう


廊下に戻りさっきの看護婦に手首を冷やした方がいいか温めた方がいいか相談すると時間が経っているから温めた方がいいとのこと


この看護婦さんに診察してもらいたかったな。


お金を払って怒られにきたのか、

こういうの録音しとけば訴えられるのかな。


灼熱の中とぼとぼ一人で帰る港区は落ち着いてオシャレな雰囲気、

初めて来たにも関わらず二度と来たくない


翌日、

昨日のことを思い出しズシッとした胃にお気に入りの醤油ラーメンを詰め込み、駅前の本屋で本日発売のマンガを購入。

よく喋る店員さんの笑顔にこっちまでほっこりして、お目当てのブツに気分も上々。

痛む手首を引っ提げていざMRIのある病院の地下へ。


が、

お上品な受付のご婦人に優雅なクラシックに豪華すぎる椅子、椅子、椅子。

うん、ここで漫画はやめよう。

なんたってさっき買ったのはごりごりのバトル漫画なのだ。とてもここで読む気にはなれない。


泣く泣く読みかけの立原正秋を開くこと数分、名前を呼ばれた。


しかしMRIを受ける前の同意書にチェックする時いつも思うのだが若い人たちは精密検査のチェック欄にアートメイクとかあるの分かっててやっているのだろうか。

いや、そんなことお構いなしにオシャレを謳歌しているに決まっている。


検査着に着替えたあと、空港の金属探知機でチェックされMRIの中に投下された。


MRIのドリル音の間にヘッドフォンからクラシックが聴こえてくる。

なんてアンビバレンスなコンビネーション。


固定された右手の痛みを感じながら

今日も髪洗いたくないなとか、

ドライヤー持ちたくないなとか

夢想すること20分、終わるころにはクラシックのレパートリーは丁度一周していた。


3分ほど取り直しで延長があったが、

終わるとすぐに女性のスタッフが

『最初の方が撮れてなかったみたいで申し訳ありませんでした、ご気分大丈夫ですか?』

と声をかけてくれた。


なんて感じのいいスタッフなんだろう。

素敵。


誰もいなくなった受付は節電のためか薄暗く少し寂しい。

無駄に広すぎるこの受付が満席なことなんてあるのだろうか。


お腹がまだラーメンで満たされていることを確認し、雨上がりの空を見上げる。


さぁ、帰ろうか。

明日も仕事が待っている。