数ヶ月前にラジオ番組でロバートキャンベル氏の話しを聞いた。キャンベル氏はアメリカ出身の日本文学者、専門は近世近代の漢文学など。この番組で橘曙覧(たつばなあけみ)の独楽吟(どくらくぎん)を紹介していた。


曙覧は福井県生まれ、1812年-1868年。実家は商家であったが、若くして家督を弟に譲り、隠遁して歌と学問に打ち込んだ。特徴としてその当時流行っていた花鳥風月とは異なり、日常生活を身近な言葉で詠んだことが挙げられる。 


独楽吟は52個の歌を含み、全て「たのしみは」 で始まり、「◯◯であるとき」で終わる。 200年前と現代では人々の生活様式は大きく変わった。それでも、自然、人の生き甲斐、人々のつながりには共通するものがある。 私が好きな歌をいくつか紹介する 。


 ・たのしみは朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲ける見るとき 

 ・たのしみはそぞろ読みゆくの書のうちに我とひとしき人をみしとき

 ・たのしみは心をおかぬ友どちと笑いかけりて腹をよるとき