我々は毎日、新聞や本に書かれた文字を読んで、その中味を理解しようとする。

「読む」とは、文字を見て意味を解くこと。文字は、30年ほどまでは紙に書かれていたが、最近は画面上に書かれた文字を読む機会が増えた。アラ古希なので、紙に書いた文字が好きである。

「読む」にはいくつかの派生語がある。

「読み取る」は、表面に現れた事項から、隠れている本質や意味を理解すること。例えば真相を読み取る。「行間を読む」は、文言の表面に表れていない真意を汲み取ること。

文字に書いてあることさえ十分には理解できず、背後の意味まで理解するのは難しい。ただ、そのような読み方ができれば、読む楽しみが倍増するだろう。

「詠む」は、俳句を読むように、自分の心の中にある思いを言語化すること。つまり実際は書くことである。五七調は日本人の感性になじむ。新聞に投稿される印象的な俳句や短歌をノートに書き留めている。

近ごろよく話題になるのが「空気を読む」である。その場に暗黙のうちに要求されている雰囲気を察すること。その結果、各人は、反対意見を控えるなどの態度をとる。

これは、個人の意見よりも全体のまとまりが優先される、日本文化の特徴として論じられる。しかし、異なる意見を排除する社会の将来は暗い。社会や集団は、新しい視点を取り込むことによって発展するのではないか。