水槽に移され、すいすい泳ぐメダカを見詰める緑丘小の児童たち
千葉県に本社がある同店は、音更町十勝川温泉のホタル復活プロジェクトに参画したことをきっかけに2009年に開店。道内4店舗あるうち、帯広店は最大で、一般的な熱帯魚、金魚から珍しい大型魚まで約400種類を扱う。
開店当初から、趣味で魚を飼育する顧客が、自宅では飼えない大型魚の鑑賞や世話を楽しむ目的などで、餌やりや水槽の清掃、接客を手伝っている。現在、こうしたボランティアが中学生から社会人まで11人いる。
同店はボランティアへの感謝として、1人1時間の活動に対して同店のポイント50円分を積み立て、1年間で2万円が貯まった。参加者と相談し、自然や環境をテーマにする店舗として、地域の子供たちに還元したいと、市教委に相談。小学校5年生の理科に登場するメダカを寄贈することに決めた。
授業では「受け継がれる生命」のテーマで、メダカの飼育、繁殖を通じて生命の営みを学ぶ。実際に教室でメダカを飼育するかどうかは、費用が掛かるため教員によって対応はまちまち。近年は教室などでメダカや生き物を飼う学校は少なくなっている。
今回、飼育と繁殖のアドバイスを含めて、学校の水槽に応じたメダカを寄贈するという同店の申し出に、26校中22校が手を挙げた。合計298ペア596匹と共に、繁殖場所となるマツモ(浮き草)も寄贈することにした。
緑丘小「メダカ係」に40匹を寄贈する北村マネジャー、ボランティアの工藤さん(左から)
14日、緑丘小学校(山崎則夫校長、児童483人)で行われた寄贈式に、同小出身の北村マネジャー(32)とボランティアを代表して帯広在住の会社員工藤悠平さん(27)が出席し、5年1組の「メダカ係」6人に40匹を受け渡した。体長3~4センチほどのメダカは水槽の水になじむとすいすいと泳ぎ始め、子供たちは目を丸くして観察した。班長の森さんは「早く環境に慣れて、赤ちゃんを産んでほしい」と話していた。
北村マネジャーは「メダカの寿命はわずか2年。小さな命を通じて生死を感じてもらい、身近にある自然環境に少しでも関心を寄せてほしい」と願う。今後も地域貢献事業として継続し、十勝全域に広げる考えだ。
