アニマルウェルフェアに関心を持つ人の交流の場、学びの場として、11月1日、2日、AWFCJ(アニマルウェルフェアフードコミュニティジャパン) https://awfc.jp/が主催した第1回アニマルウェルフェア大学に、NDNメンバー数名で参加してきました。場所は、なんと渥美半島!新潟とは大きく違う温暖な気候の土地でした。研修先となった(株)渥美フーズは、地域密着型スーパー、レストラン、宿泊施設、循環型農場オアシスファームを複合的に運営しており、渡会社長の夢は渥美半島に映画「ビッグリトルファーム」の世界を作ること。地域を活性化して、人にも環境にも優しい社会を作るという夢をお持ちで、着々と実現されていました。家畜はその中の大事な一員です。幸せに暮らし、人の役に立ちながら、自身ものびのびと過ごして命の循環の輪の中にいます。







*オアシスファーム*

オアシスファームでは、鶏と、日本短角牛を放牧飼育しています。メスの鶏は卵を産むけれど、オスは生産性がないので、通常は生まれてすぐに屠畜されます。オアシスファームでは、レモン、オリーブなどの果樹を植えており、そこに放されたオスの鶏たちが虫を食べ、雑草をついばむことで、除草剤や農薬を使わない果樹栽培をしています。農地は年々広げていて、目標はレモンだけで1万本とのこと。
そして、生後150日で「めぐる放牧鶏」としてプレミアムチキンとして販売されます。メスは、現在、1300羽が平飼い放牧で飼育されており、お日様の陽をたっぷり浴びて、食堂やスーパーから出た食品残さなどを食べ、3年ほど卵を産みます。

北海道から迎えた7頭の単角牛は1頭あたり1haの面積で24時間放牧されています。牛舎はなく、雨や風を避けたい時は自ら森に移動します。雑草と牧草のほか、補助飼料として周辺の農家から引き取ったおからや米ぬかを与えています。今年9月に初めて1頭が出荷され、夕刻の交流会で試食させていただきましたが、驚くほど甘くて優しい味でした。炭火で提供された放牧鶏は適度な歯応えがあって、広い敷地を走り回って鍛えた体だなと思いながら、ありがたくいただきました。



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講義 日本型アニマルウェルフェアの未来を描く


「放牧の可能性と放牧の基礎〜耕作放棄地を放牧で蘇らせよう〜」
(株)サージミヤワキ  宮脇 豊氏
「放牧とはなんなのか?」 放牧とは単に野山に牛を放つことではなく、人間が「技術」と「資材」を使って収益を上げようとする経済活動とのことでした。様々なテクニックによって牛を管理することで草地が大きく変化して、生産性が変化する。放牧先進国のニュージーランドに50回も足を運び、世界シェアを誇るGALLAGHER(ガラガー)電気柵システムの日本総代理店となっている宮脇さんだからこその貴重なお話でした。


「地域スーパー×アニマルウェルフェア」 
(株)渥美フーズ  渡会一仁氏
ムダなものなんて、きっとない。 スーパーを始めた初代の祖母様から教わった子どもの頃からの大切な精神が今につながるお話でした。鶏飼育のきっかけは意外なエピソードでした。スーパーやレストランで出る野菜くずなどの食品残さがもったいない。だったら堆肥にしようと試行錯誤していたらウジ虫が大発生!アドバイスをもらい鶏を放したところ、あっという間に食べ尽くしてくれたそうです。訪問した直前には、農林水産省が主催する第13回食品産業もったいない大賞「農林水産省大臣官房長賞」を受賞されたとのこと。おめでとうございます!




「アニマルウェルフェアの多様性について」  
かんばやし自然農園グループ(京都府綾部市)世話人  氏本長一氏
アニマルウェルフェアとは画一的なものではなく、様々な角度から議論する必要性があるというお話でした。例えば、どれくらいの規模で畜産を行っているのか、経営者の思想はどうなのか。消費者の立場でも、どんなライフスタイルか、目線が違えば畜産現場に対しての理解も考え方も違ってきます。どちらが正しい、正しくないの議論ではなく、角度を変えて考えることの気づきになるお話でした。








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オアシスファームの見学会は、どなたでも参加できます。
https://www.foodoasis.jp/



交流型のゲストハウス、渥美半島クラフトビールの醸造所も完成して、隣接するパブではバーベキューを楽しむこともできます。

また、ちょうど2頭目の出荷で、現在、渥美半島短角牛の予約販売開始中です。
https://www.instagram.com/captain_kazuu/



アニマルウェルフェアとは、堅苦しい机上の学問ではなく、人間が動物に押し付けるものでもなく、私たちが生きる営みの中で、全てが融和するための自然な形だと思いました。素晴らしい機会をいただき、ありがとうございました。 







(岡田朋子)



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