9月17日、八ヶ岳中央農業実践大学校で
講演・見学会が行われました。
NDNも大変お世話になっている
佐藤衆介先生はじめ3名の方々が研究された
「AWの科学的評価法」についての成果発表と
試験農場の見学でした。
こちらの評価法は、世界で使用されているものよりも
日本人の感覚に合いやすいよう、具体的な測定で評価されるようになっており、評価を高める=結果としてAWが改善されるように作られています。
チェックリストの項目は科学的根拠があって設定された基準であることと、動物の状態の評価が文章化されていて理解しやすく、ぜひ日本のスタンダードな基準になってほしいものだなと思いました。
講演のあと、試験農場という形で
実際にAWに配慮して家畜の飼育を行っている現場を見せていただきました。
●採卵鶏
森の中の放牧場とウィンターガーデン付きの鶏舎を自由に行き来します。
この試験場の鶏たちは
100日齢で入ってきて廃鶏=肉になるまで約400日の生涯です。
この貴重な数百日の間、自由に歩き回り安心する場所で卵を産めることで、生産性も低下することなく、バタリーケージでは毎日のように起きると言われるケガや圧死などの事故もありません。
鶏たちの世話をする人の気持ちも全く違うのではないかなと感じました。
●乳牛
ジャージー種6頭が広大な放牧場で放し飼いになっており
搾乳時のみ自分たちでパーラーまで歩いてきます。
毎日の搾乳は実習生さんが行っていて、
目の前で見せていただきましたが素晴らしい手際でした。
搾乳中ももぐもぐをやめない、人懐こくて穏やかな牛たちでした。
●豚
全部で10頭。土地を傷めないために2か所の放牧地を輪換しながら
約8か月150kgほどまで肥育されるそうです(通常は約6ヶ月)。
泥浴びや枝遊び、仲間と添い寝したりと
好奇心を余すことなく発揮して自由に過ごす姿は
心と身体の健康の証だと思いました。
評価法のチェックリストの項目は、
「栄養面・物理面(施設・設備)・衛生面・社会性・ヒトとの関係・緊急(災害)時への準備」
の状態を採点する方式になっています。
これを実践するのは当然、生産者・農家の皆さんですが
私たち消費者にとっても大切な指標になると思います。
家畜たちが過ごした生涯がしあわせなものだったか
ということが具体的な数値で評価されるようになれば、
それが商品の価値になり
私たち消費者も選ぶ・買うという行動でAW向上に貢献できます。
科学的根拠と消費者の応援があれば
生産者の皆さんも取り組みやすくなると思いますし
ニーズがあればシェアも広がっていくのではないでしょうか。
科学・生産・流通・消費を通して
社会全体でAW向上に取り組むことは可能だということを
実感できるような素晴らしい機会となりました。
八ヶ岳農場のある場所はとても過ごしやすく、密にならず、
新潟からも遠すぎないので、ぜひ一度訪れてみてください!
農場から車で1分のところに直売店があり
放牧牛乳のソフトクリームや放牧卵、放牧豚の肉加工品などを購入できます。
広大な芝生の広場が開放されていて、わんちゃん連れの方にも人気だそうです。