4月24日(土) 獣医師で、(一社)アニマルウェルフェア
畜産協会事務局の奥野尚志さんをお迎えして、オンラインセミナーを開催しました
家畜の福祉を考える際に、と畜場は最後にたどり着く場所でもあり、原点でもあります
想像もしていなかったこともあり、深く心に刻まれるお話を伺うことができました
1.仕事と役割
奥野さんの経歴は異色です
1.仕事と役割
奥野さんの経歴は異色です
中学・高校の国語科教諭を経て1994年帯広畜産大学獣医学科に入学
2000年4月開業、中札内家畜自衛防疫組合獣医師として防疫業務にあたり、
2009年4月より北海道帯広食肉衛生検査所に勤務しています
20歳のころ、貨物列車で札幌から松江まで馬を運んだことがあり、
1週間以上、馬と同じ貨物車両で生活をして、
生き物は、何はなくとも水が必要だと感じたそうです
お勤めした屠畜場の繋留所に飲水設備がないことが、
アニマルウェルフェアを考えることにつながり、家畜も人と同じように
感受性のあるものとして接することが求められる、配慮が必要である、
当たり前となっていることに疑問を抱くことから始まったそうです
検査員も始めはおかしいと思っていても、
それが当たり前となってしまうことがあります
また、そのようなことを突っ込んで話し合う機会もないそうです
とは言え、この問題は、屠畜場だけではなく、生産者、流通関係、
消費者、みんなで考えて取り組むことだと思っているそうです
2.屠畜場・食鳥処理場でのアニマルウェルフェア
●生き物にとって何より大切なのは水です。
2.屠畜場・食鳥処理場でのアニマルウェルフェア
●生き物にとって何より大切なのは水です。
しかし、と畜場では飲水設備を設けていない施設がたくさんあります
平成22年から23年の調査では、全国のと畜場で牛の半数、
豚は86%に飲水設備が設置されていませんでした
収容からと畜までの時間が少ないほか、肉質が悪くなるという理由もありました
実際に調べたところ、給水は肉質には影響を与えないことがわかったそうです
(逆にプラスのことの方が多い)
●災害時の対応について。2018年9月の北海道胆振東部地震の際は
●災害時の対応について。2018年9月の北海道胆振東部地震の際は
電気が止まり、一部の家畜は農家に戻せましたが、
多くが繋留所に長時間置かれることになりました
災害時に家畜をどうするのか、きちんと考える必要があると感じたそうです
●輸出用の牛は施設が違います。
●輸出用の牛は施設が違います。
海外の(高い福祉)基準を満たしたものでなければ輸出できないため、
飲水設備や大型扇風機などの配慮がなされています
●家畜車も様々です
●家畜車も様々です
トラックにそのまま載せられる牛もいれば、
十分な敷料や飲水バケツが置かれたものもあります
と畜場への入り口が薄暗ければ牛は怖がります
狭ければ怖がります
施設内を明るくして入り口を広げる
そんな少しの改善が、
最期を迎える牛への配慮につながります
3.屠畜場や食鳥処理場から見える社会
3.屠畜場や食鳥処理場から見える社会
(ここでしか考えられないことがある)
農場から来る牛は多くを語ってくれます。
農場から来る牛は多くを語ってくれます。
ヨロイ(糞などの汚れ)がついたままの牛、
削蹄されておらず爪が伸びきった牛、転倒して骨折した跡がある牛
尻尾も様々です
汚物がつかないようにと断尾されたり、乱暴に扱われたために
尻尾が骨折している牛もいます
また、内臓を見ると草食動物である牛が濃厚飼料の多給により
第4胃の著しい炎症を認めることも少なくありません
と畜場では、農家がどのような飼育をしてきたか、
動物たちが多くを語ってくれます
汚れた体はシャワーを浴びせてそぎ落さなくてはならず、
汚れ具合によってペナルティで追加料金がかかります
しかし、改善しない農家もいるそうです
4.屠畜場が変われば社会も変わる
4.屠畜場が変われば社会も変わる
(21世紀の持続可能な屠畜場・食鳥処理場)
食におけるこの過程は不可欠でありながら、
食におけるこの過程は不可欠でありながら、
見えない、見ようとしなかった部分です
しかし、多くの人が様々な面で携わっており、
それぞれが懸命に生きています
取り分け、屠畜場や食鳥処理場で働き、処理に携わっている人、
屠畜場や食鳥処理場の存在が不可欠であり、
食を支えていることをたくさんの人には認識していただきたいと思っています
家畜の扱いは個々の人に負うところが大きいですが、
社会全体で取り組んでいくべきものでもあります
今は屠畜場の数が減る一方で、
今は屠畜場の数が減る一方で、
大規模多頭羽数の飼養現場が増え集中するために、
短時間で処理しなければならなくなっています
そんなしわ寄せが屠畜場に来ているのも事実です
最後の場面の家畜の扱いが誰が見ても納得できるように、
ちゃんと説明がつくように、多くの人に関心を持ってもらうことが大切です
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徐々にですが子猫の保護が増えてまいりました。皆様からのご寄付をお待ちしております。
よろしくお願いいたします。