最近、他県で公園猫のいたましいニュースを繰り返し耳にします。
無力なもの、小さなものを傷つける行為は断じて許せません。
一方、野良猫への餌やり禁止条例もあちこちで耳にするようになりました。
解決の道が見えないことに、はがゆい気持ちでいる方は多いと思います。


9月29日(日)、新潟市動物愛護センター主催で
元新宿区保健所職員、NPO法人アナイス理事 高木優治さんをお迎えして、新潟市主催で初めての地域猫セミナーが開かれました。
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遠くは上越や魚沼から地元のボランティアさん、
県や市の職員さん、町内会長さん、地域でのら猫問題にお困りの一般市民の方など、など、
定員100名の会場がほぼ満席になる盛況でした。


新宿区は、そもそも都会の真ん中のイメージがありますが、
自然も豊かで、人口は約30万人です。
平成13年から東京都で始まった「飼い主のいない猫との共生モデルプラン事業」の第1号で地域猫活動を開始しましたが、
当時、新宿区では年回500件近い苦情があったそうです。
以降、毎年、NPOねこだすけと恊働でセミナーを開催したり、
助成金制度を利用しながら、地域猫活動を行ってきました。

よく、地域猫=TNR(捕まえて、手術して、元の場所に戻す)と
思われがちですが、実際は TNRプラスM  だそうです。

Mとは、マネージメントの意味で、
手術だけでなく、毎日の餌やりや
えさ場の整理、糞の片付等、
適切な管理と猫の把握によって
「その地域で人と猫が共生するまちづくり」を行うのだそうです。 

そうして平成16年には
「人と猫との調和のとれたまちづくり事業」
という名称に変更しました。

これがポイントなんです、と
高木さんは繰り返しおっしゃっていました。
つまり、野良猫への関わり方は人さまざまですが、
まちづくりの視点から多くの人を巻き込んで、
猫問題解決の道を探るのだそうです。


平成20年には「連絡協議会」を発足して
月1回の幹事会、
特別出張所「ねこ苦情なんでも相談会」やセミナー開催など、
かつてのら猫問題に困っていた人が、
いつしか次に困っている人へのアドバイザーになる仕組みを作ったそうです。
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⚫︎なぜ、地域で取り組みをするの?

猫を巡る問題は、地域の人と人のトラブルとして現れるため、
迷惑を受けている人、世話をしている人、自治会の役員など
周辺の人が集まって、情報交換して問題を整理することが
はじめの一歩になるからだそうです。


⚫︎具体的にはどうすれば良いの?

地域ねこ対策のスタイルは1つではありません。

まず、情報をみんなで共有する。
何が問題なのか、
何から解決すべきかを考える。
具体的な解決方法を話し合う。
役割分担、広報(告知、宣伝)する。



⚫︎なぜ、「餌やり禁止」と言わないの?

猫は縄張りを大切にする生き物なので、
餌やりを禁止しても移動することが少ない。
「餌を与えないで」と看板すると、
餌を与えている人がルール違反者と決めつけられるため、
住民間でのトラブルの誘発にもつながる、
必要な情報が得られなくなったり、
こっそり餌を与えるようになると
置き餌が始まって不衛生やゴミを荒らす、
猫の数も出没場所もわからなくなり、
保護も管理もしにくくなり、
結果的に目標から遠ざかってしまうそうです。
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実例もいくつか教えていただきました。

全部で120頭の不妊去勢を全てカンパで行い、
6、7年でその地域の猫が50頭に減少したという壮絶なお話から、
餌だけ与えていたおそば屋さんを孤立させることなく
町内でビアガーデンを開催して顔の見える関係になりながら
費用を町内会で工面したお話、
大学で猫の住民票を作成して個体識別していることなど


1時間半のセミナーを通して、
高木さんが最後におっしゃっていたのは「住民自治」 でした。
地域の問題は地域で解決する、
その下支えをするのが行政の役割りだそうです。


最後に新潟市動物愛護協会永松会長が
「新潟らしい地域猫の取り組みができるよう、がんばりたいですね。」
と締めくくられました。
新潟市でも、いよいよモデル事業が始まります。
不幸な命を作らない新潟を目指したいものです。

NDN 岡田朋子