AKB48“モウソウ馬鹿” -38ページ目

AKB48“モウソウ馬鹿”

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アーカーベーのニューシングルの選抜メンバーの中に、ヤブシタシュウの名前はなかった ヤグラフウコも選抜落ちし、当然と言えば当然なのだが、シロマミルが選抜されたというのが気に入らない そして、事件は起こる 全国握手会では、ヤマモトサヤカ、ワタナベミユキ、そしてシロマミルが独りレーンとなった 握手会開始となってすぐに、シロマの列には、ヤマモトには及ばなかったものの、ワタナベと同等の人数が並んだ それに比して、他のメンバーの列には、閑古鳥が鳴いている そこで、或るシロマヲタは、空いているヤブシタとヤグラの列に並び、握手していた そして、握手会が後半をむかえ、ほとんどのレーンに列ができるようになると、そのヲタはシロマと握手を始めた もちろん、シロマに悪気がなかったのはわかる しかし、シロマの屈託のない大きな声が会場に響き、辺りは一瞬、凍り付いた
「もー、ミルが忙しいからって、他のメンバーと握手してたでしょっ」
ヤブシタとヤグラが、シロマの方を睨む 彼女たちと握手していたファンもが、シロマの方を見たほどだった ヤグラが、顔を覆って泣き出した 彼女の行動が、いかにプロ意識に欠けたものであるかは言うまでもない ダブルセンターに選ばれていても、シロマとの差は歴然としていた プライドが音をたてて崩れていく ヤブシタも肩を震わせている 顔面は紅潮し、握手会は中断を余儀なくされた…








エスが一枚岩かと問われれば、首を縦には振りかねる ワタナベミユキは、独り、黙々と練習するナカニシユカを見つめていた キャプテンのミヤザワサエを、常にキタガワリョウハとアズマリオン、ミヤマエアミが取り囲んでいる マツイジュリナ不在時のエスは、ミヤザワの独裁状態であった
「よおっ」
肩を叩かれ、振り向くと、ユウコが立っていた
「久しぶりだな」


「ユウコさん…」
グループ全体が動き始めたようだ ワタナベミユキは、わくわくする気持ちを抑えるのに必死だった


「サエ、イキイキとしてるな 実は、先日、アヤカ(ウメダアヤカ)に、私とサヤカ(アキモトサヤカ)とサエが呼ばれて、てめえんとこの若い衆と飯を食った アヤカはビーⅡを率いて、てっぺんを目指すつもりらしい それで気になってよ、チョリ(ナカニシチヨリ)にナンバを、アンニャ(イシダアンナ)にサカエを探らせているんだ 今回のセンター交代劇は、影でサエが動いたらしい ジュリナとレナは、サカエを捨てるぞ しかし、この流れは、上層部の思惑通りらしい てめえがエスに来たのは、ふたりの穴埋めだ 私は、サヤネエ(ヤマモトサヤカ)とユイハン(ヨコヤマユイ)にケーを託した 上層部は、トラブルを起こしたてめえにエヌを牛耳られるのを恐れて、ビーⅡに移し、ついでにサカエの尻拭いもさせたんだ 私はケーを愛している ユキリン(カシワギユキ)にも、サエにも、アヤカにも、てっぺんは渡さない」


「ユウコさんは、ヨコヤマさんが、ミヤザワさんに呼ばれたのはご存知なんですか?」
その席に、ミユキも呼ばれたのだ ヨコヤマユイ、ヤマモトサヤカと、ジュリナをアーカーベーのセンターとして、補佐して欲しいとのことだった ミヤザワは、キタガワを、次世代のてっぺんに立たせるつもりだ


「ああ、サヤネエから聞いた サエも、アヤカも、まだ戦ってるんだ 私はケーを大切に思っているが、奴らは、それぞれのチームで戦うしかない おまけに、サエはキタガワを、アヤカはヤブシタを可愛がっている モチベーションも高いんだ 次世代のてっぺんを育てることが、奴らの最後の仕事なんだろ そう、私が、サヤネエを育てたようにな…」
ユウコが遠い目をした


ミユキは、ユウコと共に戦った日々を思い出していた 当時、ビーに兼任していたミユキは、ワタナベマユ、カシワギ、サシハラリノの連合軍と戦うユウコを、補佐したのだった しかし、どういうわけか、ユウコはミユキを放した 早々と、後継者にマユを推し、ヨコヤマとヤマモトを補佐役として育て始めたのだ どうやら、ユウコは、マユとミユキの関係を疑ったらしい 当時のミユキの勢いが、ユウコさへも恐れさせたのだった もしかしたら… 私が失脚したのも… ユウコとミユキの視線がぶつかる


「勘違いするな てめえを陥れたのは、私じゃない てめえは、サヤネエのライバルだが、敵じゃないだろ」
ユウコが苦しそうに微笑む


いずれにしろ、ミユキは権力闘争に破れたのだ
「ユウコさん、私の生きる道はありますか」


ミユキの鋭い眼光を、しっかりと受け止めるユウコ
「心配するな てめえは、まだ死んじゃあいない サエも、アヤカも、てめえを獲りにくる 上層部の誤算は、サエとアヤカのターミナルを見誤ったことだ こともあろうか、てめえを奴らに近づけてしまった てめえは、今や、キーパーソンだ 私は、ケーを守るぜ」
そう言い残し、ユウコは去っていった
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ドラマの共演をきっかけに、カシワギユキとイリヤマアンナの距離が近づいた シロマミルとイリヤマが仲良しであるのは周知のこと シロマは、イリヤマを通じて、カシワギに近づく計画を練っていた ヤグラフウコ、シブヤナギサは、アーカーベーと兼任している 当然、アーカーベーの幹部と通じているに違いない また、カシワギは、シブヤに興味を抱いているという噂だ シブヤに獲られる前に、カシワギを押さえたかった カシワギは、エヌのジョウニシケイ、ヨシダアカリを可愛がっている 元エヌのシロマにとって、ジョウニシ、ヨシダは姉のようなもの そこにイリヤマが加われば、カシワギと仲良くなるのは容易いことだ シロマは、ナンバの1期生 オリジナルエヌの中では、一番年少であった しかし、2期生として、ジョウエリコ、ヨギケイラが加入してから、シロマの立場は微妙になる デビューからすべてのシングルに選抜されているのは、ヤマモトサヤカ、ヤマダナナ、コタニリ
ホ、ジョウニシ、そしてシロマだけだ 要するに、ナンバの次世代の筆頭は、シロマと言っても過言ではない 上層部は、ジョウが辞退すると、シロマではなくヤグラを登用した 普通の神経の持ち主であれば、焦る気持ちを持ったとしても不思議ではない ナンバが発足して4年が経ち、スリーピングライオン、シロマミルが覚醒した 腐ることなく、ただひたすらナンバのために頑張ってきた少女を、ようやく上層部が、いや世間がアーカーベーの次世代として認めたのだった そして、シロマを可愛がっていたイリヤマも、シロマと共にてっぺんを目指す権利を得ることとなる 人脈、権力闘争とはそういうものだ 自分の力だけではできないことも、人脈を利用すればできる 才色兼備のイリヤマは、アーカーベーの中堅の陰の実力者である シロマは、イリヤマを通じて、シマザキハルカ、シマダハルカ、イリエイリナらチームペンギンと交流を深めることとなる シロマは、勉強はできない、いやしない 勉
強ができても、馬鹿な奴はたくさんいる ナンバのメンバーは、シロマのことを馬鹿だと思っていた しかし、カシワギが、シロマ支持を表明したとき、彼女たちは、シロマの恐ろしさ、賢さを思い知ることとなる サヤネエ、ミルキーの次は、ミルルン この空気が、冷戦(サヤミル戦争)終結後のナンバを、再び火の海に沈めるのであった








アーカーベーの次世代を特集した雑誌に、キモトカノンの名前は出てこなかった ハカタからは、ミヤワキサクラが未来の神7として取り上げられている キモトは、ミヤワキを讃えた そして、こう付け加える
「今を逃しちゃ、駄目」
キモトは、サカエに加入して数か月で選抜入りし、若きエースとして嘱望されていた おそらく、上層部は、ナンバにジョウが現れるまでは、キモトにアーカーベーの未来を見ていたに違いない マジスカ学園でミソ役にも抜擢され、怪演をみせた オオタアイカは、キモトの登場で、自分にチャンスがないことを悟る 上に神7、そして下から次世代メンバーの足音が 今でこそ次世代、次世代とうるさいが、当時は今を生きることに精一杯だった そんなオオタだからこそ、後ろから迫ってくる影に敏感だったのだ 盟友であるミヤザキミホは時の流れに風化してしまった 自分の周りにいた多くのメンバーは、過去のひとになってしまったのだ オオタは、次世代の先頭を走るミヤワキと、かつて次世代の先頭を走っていたキモトの顔を見比べる 年齢はそんなに違わないが、肌の輝きが違うのだ キモトは、明らかにくたびれている オオタは、ハカタに来る前の自分のことを考えていた この組織は、幼
い夢を消費して、拡大している 自分も、キモトも、その残骸なのかもしれない オオタは、トモナガミオに目を移す デビュー曲のセンターにいきなり抜擢された、次世代中の次世代 しかし、早くもくたびれかけている 自分たちの時代より、時の流れが確実に速いのだ 止めなきゃならない このままじゃ、この組織はゾンビだらけになっちまう…


オオタは、ワタナベマユに提案した
「ワタリロウカハシリ隊を復活させないか センターは、キモトだ」
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サカエにも、新しい風が吹き始めた 5期のミヤマエアミと6期のキタガワリョウハがセンターに指名されたのだ 5期のエース格はフルハタナオであったので、下剋上とも言えなくはない エスの次世代ふたりが抜擢されたのは、リーダーのミヤザワサエの力によるところが大きかった ウメダアヤカの動きに危機感を持ったミヤザワが、先に動いたのだ ナンバは、ヤマダナナが卒業の意向を示したことにより、エムの改革に着手した 1期のシロマミル、2期のヤグラフウコを新曲のセンターに押し上げ、その勢いでエムを引っ張らせようという考えだ ミヤザワは、シロマ、ヤグラよりも、ビーⅡのヤブシタシュウ、シブヤナギサに脅威を感じていた ウメダが動く前に、先制パンチを食らわせねば ミヤザワは、ケーのキャプテン、ヨコヤマユイを名古屋に呼び寄せた もちろん、ジュリナもいっしょである エスでは、ミヤザワよりもジュリナの方が先輩である しかし、ケーというフィルターを通すことによっ
て、ミヤザワはジュリナに圧力をかけた 6年間、守り続けたセンターの座を明け渡すのである マエダアツコは、卒業するまでセンターを守った やはり、自分はマエダを越えることはできないということか ジュリナの頬を涙が伝う

「ジュリナ、アーカーベーのセンターは任せる ヨコヤマ、ジュリナを頼むぞ ヤマモト(サヤカ)とふたりで、補佐してやってくれ ユウコは、私が抑えるから」
ミヤザワは、ジュリナの肩を抱く
「エスは、私に任せてくれないか 最後に花を咲かせたいんだ…」






マツイレナにも、ミヤザワから圧力がかけられた アキモトサヤカからの突然の誘いに心弾ませたのも束の間、センター交代案を持ちかけられたのだった ドラマで共演して以来、レナはアキモトに頭が上がらない こうして、ジュリナ、レナからの提案という形で、サカエの世代交代が実現する運びとなった






キモトカノンは、サカエの4期生であり、同期に総選挙で選抜入りしたシバタアヤがいる しかし、サカエのセンターに選ばれたのは、後輩のミヤマエとキタガワだった 自分は総選挙で惨敗したから、仕方ない しかし、2年連続で結果を出しても、シバタにセンターの声はかからなかった ナンバの新センターは、1期のシロマと2期のヤグラだそうだ ヤマモトサヤカ、ワタナベミユキに続くメンバーとして妥当な選択ではないか それに比して、サカエはアーカーベー選抜メンバーのシバタ、スダアカリに見向きもせず、次世代と呼ばれるふたりをセンターに指名した キモトは、嫌な汗が背中を流れるのを感じながら、ケーⅣのメンバーが踊る姿を眺めている ハカタの新センターは、コダマハルカだ 各グループが、次世代、次世代と、馬鹿の一つ覚えのようにさえずるのを横目に、元祖センター候補を選んだのだった ミヤワキサクラと目が合い、微笑むキモト 彼女も総選挙で選抜入りしたが、コダマがセンターに
選ばれたことを、自分のことのように喜んだという ハカタのデビューシングルのセンターに選ばれたのは、2期生のタシマメル、トモナガミオであった 誰もがセンターに選ばれると認められていたコダマは、悔し涙を流したのだった ミヤワキは、盟友であるコダマの肩を抱き、自分たちが真のセンター、ハカタのツートップであることを確認し合ったのだそうだ キモトの脳裏に、キザキユリアの顔が浮かんだ いつかは、自分とキザキが、サカエのセンターに立つ… 涙が溢れて、止まらない ミヤワキとトモナガが、キモトに寄り添う キモトは、泣きながら微笑んだ 誰がセンターとか、どうでもいいことなのかもしれない 今、できることを精一杯やろう 瞳の中のセンターか… キモトは、イーのリーダーであるスダの言葉を思い出した








アーカーベーのセンターは、3期生のワタナベマユである しかし、同期のカシワギユキがナンバに兼任となったことにより、孤立するようになってきた ビーのキャプテン、クラモチアスカ、副キャプテン、オオヤシヅカは、共に4期生であり、当然、マユに気を遣う さらに、クラモチ、オオヤは、マエダアツコがセンターであったエーに在籍していた 無意識のうちに、マエダとマユを比較してしまうのだった チーム内に不穏な空気が立ち込めている ビーに兼任しているトモナガから、オオタアイカに報告がなされた オオタもアーカーベーの3期生、マユと同期である また、ワタリロウカハシリ隊としても活動を共にした盟友であった オオタは、気晴らしにでもなればと、マユをハカタに招待した サシハラと3人で、今後のアーカーベーグループについても語るつもりである オオタは、マユとたびたび衝突した経緯を持つ しかし、アーカーベーのセンターは、マユでいいと考えていた ストイッ
クに、ぶれることなく努力してきたマユこそ、アーカーベーのセンターに相応しい そして、マユの次にセンターに立つのがミヤワキである 自分には無理だったが、アーカーベーのセンターは、アーカーベーがすべてである人間にしか任せられない





突然のマユの訪問に、ケーⅣが騒然となった オオタは、キモトを呼び寄せる アーカーベーに選抜されたことがあるキモトだが、やはりマユは雲の上の存在 緊張するキモトを、オオタがマユに紹介した


マユは、キモトを、自分に似ていると思っている 一番妹チームの若きセンターで、早くから選抜入りしていた しかし、気の毒だったのは、キモトには、ユウコのような存在がいなかった 適任なのはレナだったのだろうが、彼女も自分のことで精一杯 キモトは、アーカーベーにやってきても、誰と絡むこともなく、隅っこで淋しそうにしていた マユは、幾度となく声をかけようとしたが、極度の人見知りなのかキモトが逃げていく たまりかねて、マユはユウコに相談した ユウコも同じことを考えていたようで、このままじゃキモトが腐っちまうと吐き捨てたのだった ジュリナ、レナは、何をしてやがるんだ 自分たちのことよりも、チャンスを与えられたキザキユリアやキモトをつなげないと…


「同じことを考えているようだね」
オオタが微笑む
「キモトは、マユの若い頃に似てるよ 人見知りで、気が強くて、そして天然」


「天然って、何よ」
マユは、久しぶりに、心の底から笑った気がした
「のんちゃんって、呼んでいい?」


「あ、はい」
ようやく、キモトが微笑んだ 笑顔も、マユに似ている


「あっ、そうか マユもしゃくれてるんだ」
最近、キモトは、アゴをいじられているのだった
「コンビ、組んじゃえば サヤネエが入れば、トリオか」
オオタが、腹を抱えて笑う


「もう、何よそれ ねえ、のんちゃん、コンビ組む?」
マユがキモトに抱きつく様子を、物陰からサシハラリノがうかがっている その後ろには、親衛隊のタナカミク、ヤブキナコの姿も


「きな臭くなってきやがったぜ こりゃ、ハカタが燃え上がるな」
そう呟いて、にやつくサシハラの顔を、ナコミクは、見てはならないものを見たような心持ちで、脳裏に焼き付けたのだった