AKB48伝説⑫ | AKB48“モウソウ馬鹿”

AKB48“モウソウ馬鹿”

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“AKBの神様”

「優子、ごめん 敦子から口止めされてたし、わたし自身、半信半疑だったんだ あの日、発表することも知らなかった」
高橋みなみが頭を下げた 彼女は、大島にも相談した方がいいと思っていたからだ しかし前田は、辞めるのは自分独りだけでいい もし篠田麻里子に話が聞こえたら、彼女も辞めるかもしれない、と声を荒げた 確かに… 高橋は、前田と篠田のいないAKBのことなど考えたくなかった

大島優子が微笑んだ
「みなみが謝る必要なんてないよ そりゃ最初は驚いたし、裏切り者って思ったよ でも、あっちゃんの気持ち、わかるんだ わたしたちがいたら、下の子たちが上がってこれないものね それに、今のAKBは調子に乗ってるっていうか、ハングリーじゃないような気がする あっちゃんが卒業宣言しても、思ったより反響ないじゃん わたしたちの存在って、この程度なんだよ それをあっちゃんは皆に示したかったんだと思う 実は、わたしも辞めようと思ってたんだ もしかしたら、気づかれてたのかもしれない」

高橋は大島を抱きしめた
「わかるよ、わたしにだって 優子が女優になるために、AKBは邪魔こそすれ役には立たない 敦子もわかってたんだと思う でも、今のAKBにこそ優子が必要だから 敦子も悩んでたんだ もし、優子に先に卒業されたらどうしようって 麻里子はいつ卒業してもおかしくないじゃん もしかしたら、それも食い止められるんじゃないかって AKBをただのアイドルグループで終わらせないためには、麻里子みたいな存在が必要だって」


「あっちゃん…」
大島は大きなため息をついた わたしはわたしのやれることをやろう 取り敢えずは前に出ようとする奴を叩き潰す 今は、前田が気持ちよく卒業できるようにAKBが一丸となるときだ しかし、浮き足だった雰囲気に乗じて上がろうとする奴がいるに違いない」





苦手なんだよなぁ、こういうのって… 渡辺麻友は己の人脈のなさに落ち込んでいた 周りからちやほやされてはいるが、誰に相談したらいいのか全く思いつかない 優子さんはちょっと怖いし、ゆきりんは何考えてるのかわからないし あっ、そうだ、はるごんに話を聞いてもらおう はるごんというのは、同期生で現在はチームAの仲川遥香のことである 渡辺と同じプロダクションに所属しており、渡り廊下走り隊7というユニットを組んでいた

「香港で前田さんとどんな話をしたの?」

仲川は最近、前田敦子と香港に仕事で行った 前田と過ごした三日間は、仲川にとってなにものにも替え難い財産となった 渡辺から、これからのAKBについて相談に乗って欲しいと言われたとき、もしかしたら前田から聞いた話が役に立つかもしれないと思った 前田邸に愛犬を連れて遊びにいったときも、AKBの話をいっぱいした 高城亜樹もいっしょだったのだが、チームAについてもいっぱい語った

「何から話せばいいんだろ 気を悪くしないでね 麻友にはもっと積極的になって欲しいって 優子さんみたいになって欲しいんだって」
仲川は優しく微笑んだ あどけない笑顔に誰もが癒される

「優子さんみたいに…」
戸惑う渡辺に

「せっかく優子さんに気に入られてるんだから勿体ないって(笑) 前田さん、たぶん気を使ってるんだよ 麻友には優子さんがいるから邪魔しちゃいけないみたいな」

前田の態度がよそよそしいと感じることがあった あまり好かれてないと思い込んでいた 基本的に前田は誰にでも優しい 大幹部なのに研究生にも気さくに接する もちろん、麻友には恐れ多いほどによくしてくれた

「前田さんって、実は物凄く人懐っこいんだよ でも、自分が前に出ると、優子さんや柏木さんがやりにくいだろうって」

前田さんはAKB48全体を見ていたんだ 麻友は上に上がることしか考えていなかった自分が恥ずかしくなった もしかしたら前田さんはAKB48を変えるために卒業を決意したのではないか 総選挙が行われるようになってから、皆が前ばかり見て横を見なくなった 前田さんは一番にならなくてはならないという重圧の中でも横や後ろを見てくれていたんだ 前田さんがいなくなったらどうなるんだろ 麻友の脳裏に優子の顔が浮かんだ 疲れ果てた優子の顔が 「しりり…」微笑んでくれない そうだ、そうなんだ 前田さんや優子さんにばかり頼ってちゃいけない キャラじゃないけど、これからはわたしがAKB48をまとめなくちゃ

仲川が渡辺の肩を抱いた
「麻友、そうだよ これからは麻友が前田さんの代わりに周りを見るんだよ 優子さんと珠理奈がAKB48を引っ張ってくれるから 麻友は前田さんのあとを継がなきゃ」

麻友の目付きが変わった 残された時間はあとどのくらいだろうか
「はるごんも助けてくれる 前田さんならどうするのか教えて欲しい」





前田敦子は仲川遥香にAKB48の未来を託していた だから香港ではたくさんの話をした 麻友が仲川を頼ったのは想定外だったが、もしかしたら色んな人脈があるのかもしれない AKBの神様は自分に味方してくれると信じている