初盆 | AKB48“モウソウ馬鹿”

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オイラは、お祖母ちゃん子やったらしいんです

虫獲りや、釣りには、お祖母ちゃんが連れていってくれました

お祖母ちゃんは、離れに住んでいました 嫁、すなわち、オイラの母親と折り合いが合わなかったみたいで、家の風呂ではなく、銭湯に行ってました 当時は、不思議に思ってましたが、女湯に入れるのが嬉しくて、よくついて行ってました 風呂上がりに、フルーツ牛乳や、ラムネを買ってもらうのも楽しみでした

さすがに、中学生になると、お祖母ちゃんと遊ぶことはなくなりましたが、お小遣いはよくせびりましたね 特に、終業式が終わり、通知表に5が並んでいると、野球のグローブを買ってくれたりしました 

高校は、県下トップクラスの進学校に入れました そして、野球部に入ったのですが、練習が厳しく、成績は落ちる一方 何故か、お祖母ちゃんが責任を感じ、オイラに、野球部を辞めて欲しいと、頼むようになりました しかし、一年生から背番号をもらい、周りからも期待されていたので、辞めることはできませんでした 

夏の予選が終わり、練習はますます激しくなりました 毎日、遅くなるオイラに、お祖母ちゃんは、野球なんかさせるんじゃなかったと、ぼやくようになりました 

その夜は、離れに、お祖母ちゃんの姿が見えませんでした ガレージに、素振りしにいくと、お祖母ちゃんがたらいで、行水してました そして、オイラに気付くと、恨めしそうな顔で、またぼやきました 鬱陶しくなったオイラは、だんだんお祖母ちゃんを、遠ざけるようになりました 

父親に、お祖母ちゃんが行水してたことを話すと、難しい顔をしました 母親は、無言で、その場を去りました 父親が、重い口を開きました 実は、末期の膵臓癌で、腹水が溜まって、カッコ悪いから、銭湯には行かない、とのことでした 「家の風呂を使わしたれよ」 オイラは、怒鳴りました 自分の母親が、たらいで行水するのを、黙って見とうこの男を、心の底から憎んだのを憶えています

お祖母ちゃんは、入院しました オイラは、部活の帰りに、よく見舞いにいきました お祖母ちゃんは、もうぼやかなくなってました オイラの小さいときの話を、懐かしそうにするばかりでした お葬式のとき、叔母さんから聞いたのですが、意識のしっかりしとうお祖母ちゃんを最後に見舞ったのが、オイラだったそうです 母がとても喜んでいたと、礼を言われました 変な感じでしたが、叔母さんは、お祖母ちゃんの娘ですからねぇ ただ、妹たちは、あまりお祖母ちゃんと仲良くなかったし、見舞いにいくのは、オイラばかりだったみたいです お祖母ちゃん、淋しかったに違いありません 最後に逢ったとき、野球はどないや、って聞かれました なんて答えたか、憶えてないんですよ もしかしたら、答えなかったのかもしれません 高校生のオイラに、気の利いた答えなんて、見つけられるはずないですもんねぇ

春休みに入る直前の練習で、オイラは大怪我をしました バッティングピッチャーをしていて、隣の打席のバッターの打球が、頬に直撃したのです オイラは、救急車で運ばれました 下顎の骨が折れてました 手術をするかどうか、先生は悩まれてましたが、上と下の歯を針金で固定して、骨をひっつける方法を選択されました オイラは、その日から、口を開けることが、できなくなりました 先生には、運がいい、と言われました あと数センチ上、すなわちこめかみに当たっていたら、命が危なかったと 下なら、下顎が、バラバラに砕け、後遺症が絶対に残るだろうと

オイラは、病院から戻ると、お祖母ちゃんに、野球部を辞めることを報告にいきました たぶん、お祖母ちゃんが、助けてくれたのだろうと思ったんです 実は、オイラが幼少の頃、公園で遊んでいたら、野球のボールが、オイラの頭の方に飛んできて、かばったお祖母ちゃんの手に、当たったらしいのです そのときの突き指が原因で曲がった指をよく見せられました(笑) 「お祖母ちゃん、またかばってくれたんやろ ありがとう…」 

それから、流動食だけで、毎日過ごしました 苦しかったですよ 高校生ですから 食べ盛りですもんねぇ

ある夜、母親に叩き起こされました うめき声を聞き、オイラの寝床に来てみると、もがきながら、口の針金を外そうとしていたらしいのです 

「あんた、何しとうねん」

なかなか、オイラは、目を覚まさなかったらしいです

「お祖母ちゃんが、お腹減ったやろって、口を開けようとしてくれとったんや お祖母ちゃん、どこ行ったんや」

寝呆けながら話すオイラに

「何言うとんねん お祖母ちゃん、亡くなりはったやろ あれっ、今日は何日や お彼岸ちゃうんか」

そう言うと、母親は、泣き崩れました 

「お母さん、すいませんでした この子のことを、今でも、気に掛けてくれてはるんやねぇ」

オイラは、仏壇に、線香をあげに行きました この時は、初盆の意味がわかりませんでしが、無性に、お祖母ちゃんに逢いたくなったのです

「おかんが、お祖母ちゃんのことをお母さんって言いよったで どういう風の吹き回しや(笑) それより、口を無理やり開けるの、やめてくれよ また針金結ぶの大変なんや」

背後に何かの気配を感じ、振り向いたんですが、誰もいるはずありません お祖母ちゃんの遺影が、優しげに微笑んどうだけ そして、風もないのに、線香の煙がゆれました…