マスコミの報道に問題ありと感じます。
ある報道番組(テレビ朝日系)の特集で,
遺言書に関する話題を取り上げていました。
その中で,ある老婆の相続(遺産総額1億5,000万円)に関して,
法定相続人が長女と二女,そして養子である長女の婿の子供2人なので,
この法定相続分は長女3分の1,二女3分の1,養子の子供それぞれ6分の1となるところ,
老婆の遺言内容が,
「長女に1,000万円,二女に1億4,000万円を相続させたい」
としたいとしているのを,
「常識からはかけ離れた」と表現していました。
常識からかけ離れているのは,そういう表現をしたマスコミです。
たしかに,遺留分減殺請求をされれば,
この遺言書の内容どおりにはなりません。
でも,遺留分減殺請求をするか否かは,
遺留分を侵害された相続人だけがそれを問題にできるのです。
その相続人から遺留分減殺請求がされなければ,
相続は,民法で認められていることに関しては,
遺言書のとおりにされることになります。
それは民法が保証していることです。
それを常識からかけ離れているとは何事でしょう。
法律というのは,ある意味,常識を文章にしてその内容を明らかにし,
それで人が争わないようにしたものと言っても過言ではありません。
中にはおかしな法律もあることは認めますが,
基本的には,法律とはそういうものです。
このおばあちゃん,法律家からしてみれば,
別段問題のない遺言を残そうとしています。
ところが報道番組作成者は,そういうことを無視して,
老婆の意思を「常識からはかけ離れた」と表現していました。
たぶん,法律家のきちんとした検証を受けていないんでしょうね。
報道が与える影響は大きいということを理解できずに
こういうことを言い放ってしまうマスコミというのは
問題だと思っています。