森田という
お昼休み携帯が鳴った。
液晶に映った名前を見てみると友人からだった。
確か昨日もこいつから電話がきて
よくわからない事を言って「明後日空けとけよ」と一方的に切ってしまった。
ちょーどいいや。何の用事だったか確かめよう。
「もしも~し」と言った私の後に、友人の返事は
周りの雑音にかき消された。
「ん?何だ?笑い声?人?」
私は彼の状況が分からず、
「もしも~し」と再び言った。
すると今度はちゃんと通じたらしく彼は「おー。久しぶり~」
実に明るい声だったが、昨日電話してきたじゃねーかと思った。
「今、何やってたの?」、唐突に聞かれ私は、
「いや、今会社の昼休みだよー」というと
また、さっきの雑音が聞こえて・・いや、今度ははっきりと
笑い声が聞こえた。
私は「おい、今どこにいるんだ?誰か周りにいるのか?」と尋ねると彼は
「いや~、いるどころじゃねーよ。来てるんだよ。」と言った。
彼が何を言っているのか分けがわからず私が「はぁ~?」と
理解できずにいると彼は「ちょっと待って。隣のおじさんに代わるわ」と言って
何やら電話をそのおじさんとやらに渡したらしく、
「ちょ、何、誰」、と私が焦っていると
「もしもし。どーも。初めまして。」と確かにおじさんっぽい声が聞こえてきた。
しかしどういうわけかその声にはどこかで聞き覚えがあった。
歳は50を過ぎて髪はけして多くはなく目元は黒く覆いかぶさって・・・
そんな容姿が頭に浮かぶ。
おじさんは続けて、「髪切った~?3年ぶり~。」
などと馴れた文句を話した後、最後にこう言った。
「明日来てくれるかな~」